日本刀の鞘は、鯉口の消耗と刃方の亀裂が発生してしまうと、鞘としての機能がほぼ無くなってしまいます。
しかしながら、自分の好みの鞘を捨てることは忍びなく、「何とか修復できないものか?」といったご相談をお受けすることがございます。
この鞘も、武道に多用されたことで、鯉口部が大きく破損していました。
そのまま使用し続けることは難しいですし、何と言ってもケガの原因になりかねません。
そこで、亀裂の生じた刃方に硬木を用いて補強兼修復をおこない、破損部の下地をおこしました。
次に、鯉口から鞘中央部にかけて鮫皮をタスキ掛けに巻いて研ぎ出し、鯉口金具を銅で作りました。
何度も行なっている工作ですが、今回は鞘下地の内部にトラブルがあり(下地内部の刃方が、全てパテ状の練物で出来ていました←理由は不明)、ほぼ表面を削ることができません。
まずは、塗装面を剥がし、できるだけ薄く下地表面を削ってから鮫を巻きました。
そのため、若干研ぎ出し部と漆部との境界線に段差が出来てしまい、歯痒い思いをしました。
鯉口の角に亀裂があり、一から角を削りだして付け替えるか、補強を施さなければなりません。
そのため、出来るだけ現状を残すべく(ご依頼者様の指示)、銅にて鯉口金具を作りました。
裏面には、鮫皮の合わせ目が見えますが、栗型の裏辺りから合わせ目周囲の肉置きを平面状にすることで、長時間帯刀しても疲れないように工夫しています。
鯉口の銅は、今後武道に多用することで色が変色し、次第に綺麗な古色が出てきます。


