平行植物の環世界 -261ページ目
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アリ同士仲良くやっていってます

 先日、ゴミ捨て場の脇に無造作に置いてあるコンクリートブロックをひっくり返したら、アリの巣がありました。ここまではよくある話なのですが、不思議なことに石の下にあったのは2種類の違うアリの巣。

2種のアリの巣

写真右上はアミメアリの巣。左下はクロオオアリの巣。ブロックの間を隔てている土のちょっとした壁を挟んでこの2種類が共存していました。この巣はどちらもブロックの下の地中にまでつながっているのですが、こちらも巣が交わらないようになっていました。あまり見たことのない光景です。

 まるで生垣のように両者を隔てている土の壁ですが、よく考えればこの土を掘って巣を作っているのだから、巣を拡大するときに隣の巣と開通してしまっても不思議はありません。それに、土の壁といっても細い場所では1cmもなかったから、嗅覚の優れたアリなら隣に違うアリが住んでいることも分かりそうなものです。それでもお互いのプライバシーを尊重するかのように、交わり合わない2つの巣。アリって排他的な昆虫という印象が強いのですが、案外それぞれの種同士で上手くやっていっているのでしょうか?実際多くの種が生息域を分け合っているわけですし。(日本国内でも273種類いるそうです。ただし、南部に多くが生息していて関東辺りだと150種もいないかもしれません。)こんな場所の巣なので、おそらくゴミのカスなどをメインのエサにしているのだと思いますが、一つのエサに両者が群がった場合喧嘩にならないのでしょうか?いろいろと面白そうな場所ですので、巣がなくなっていなかったら足繁く通ってみようかと思います。

アリヅカコオロギ
クロオオアリの巣には、アリヅカコオロギがいました。巣を私に壊されたため、卵をくわえて逃げ回るアリたちの間を、特に仕事もないのにオロオロと走り回っていました。

さらば愛用機DiMAGE 7

 おじいちゃんから3年前くらいに貰ったデジカメDiMAGE7が先日の鮭川村遠征で壊れてしまいました。レンズのズームリングが壊れて、そのあとレンズが動かなくなり、マクロが使えなくなり、さらにピントがオートでもマニュアルでも全く合わなくなってしまいました。でも、おじいちゃんと合わせて実に7年間使ったわけで、なかなかの大往生だったと思います。壊れた箇所は一度いおじいちゃんが修理に出していたようだったので、自分がそこに追い討ちをかけて壊したようです。壊れてから言うのも何ですが、なかなか作りがしっかりとしていて、便利なカメラでした。特に、ファインダーが90°上部に動く機能は地面すれすれの昆虫を撮影するときに重宝しました。いやー、もしカメラ業界の方がここを見ていらっしゃるのであれば、ぜひあの機能を追加して頂きたいと思いますね。目高以外の画を撮る時にも凄く役立ちます。あれは本当に最高です。

 壊れる直前に鮭川村でそこはかとなく撮った昆虫写真を数点紹介します。

ダンダラチビタマムシ
ダンダラチビタマムシ
永幡さんに同定して頂いたところ、ダンダラチビタマムシということでした。鮭川村では永幡さんをはじめ、いろいろな方に軽い気持ちで同定依頼してばかりでしたが、皆さん大変丁寧に教えてくださいました。


ビロウドアシナガオトシブミ
ビロードアシナガオトシブミ
珍しい部類に入るオトシブミだそうです。その名のごとく艶のあるシルクのような美しい微毛がはえたオトシブミです。


クモの仲間
クモの仲間
なんかピントが合っているんだか合っていないんだか分からない写真ですね。思えば暗いレンズでピントがシビアなカメラでした。


ウスアカオトシブミ
ウスアカオトシブミ
同定合っているのかな?シルエットが格好よかったので撮りました。ここのトップの画像にもなっています。


というわけで、新しいカメラを買いたいのですが、何を買っていいのか分かりません。最近はコンデジと一眼レフの間に中間型があるようで、そっちも興味深いです。一眼レフはレンズや周辺機器が充実している反面高価なので、金銭面でいろいろ大変そう。とりあえず早めに買わないと昆虫シーズンが終わってしまうので急がなくては・・・冷静且つ迅速に、というやつです。

山形県鮭川村に行って来ました

 5月2日~5日に山形県鮭川村に行ってきました。5月4日~5日に、ここで『全国チョウ類保全シンポジウム』というイベントがあり、私はスタッフとして参加させていただきました。
 イベントは「鮭川村にいるギフチョウとヒメギフチョウという2種のチョウを通して、これからの里山保全の在り方を考える」という趣旨のもので、昆虫写真家の海野和男さん、高嶋清明さん、愛媛大学農学部の日鷹一雅准教授を特別講師として、一緒に野山を歩いてチョウや自然を観察したり、講演をきいたりと、とても有意義で興味深いものでした。今年は季節の進む速度が例年より早く、お目当てのギフチョウとヒメギフチョウは少なかったですが、自然は思い通りにはならないということで。むしろ来年鮭川村に来る口実ができたという方もいるのではと思います。私も、来年はカタクリにとまるギフチョウの写真をワイド側で撮ってやる気まんまんです。

 鮭川村の鮭川という川は、その名のごとく鮭が遡上してくることで知られ、車での移動中に何軒か、軒先に鮭を干している家が見られました。鮭川では鮭の他、モズクガ二やカジカといった川の幸が採れるそうで、2日にスタッフで行われた前々夜祭でご馳走になりました。カジカは水族館でしか見たことがなく、それが料理となって目の前にあることにとても驚きました。また、季節の山菜として、みず・あかみず・たらの芽・あいこ・しどけ、なども頂きました。この中で一番はまったのは「しどけ」というやつで、最初は独特のえぐみが気になりましたが、翌日の朝に出てきたときは「やったー、またシドケだー!」という感じで、兎に角この山菜に魅入られてしまいました。「山菜の王様」と呼ばれているそうで、思い出すだけで今食べたい気持ちにさせられます。何かそういう成分でも含まれているのでしょうか。私は鮭川村が、山菜と川の幸と美味しいお米に囲まれた、本当に食文化の豊かな場所だと感じました。

 何だ食べてばかりではないか、と言われると困るので断っておきますが、昆虫写真家の海野和男さん、高嶋清明さんと共に、イベントに組み込まれている「海野さんとチョウを撮ってみよう」というの撮影会の場所探しなどもしました。プロの写真家のお二人が写真を撮る姿勢は、とても勉強になりました。昆虫写真を撮る場合大体が接写になるので、知らない人から見れば「あんなに近づいて、一体何を撮ってるんだろう?」ということになります。私はよく山で「何撮ってるんですか?」と聞かれるので、海野さんや高嶋さんの様なプロの方も聞かれるのかな?などと御二人を遠目から見てぼんやり考えたりして、この時はとっても集中力の無いダメな子になっていました。そんなこんなですが、この時のことは私の人生にとって、とても良い経験になりました。そりゃ、ブログ書こうかなって思うものです。

 なんだ美味しい思いばかりして、と言われると困るので断っておきますが、本当に美味しい思いばかりで時が過ぎていったのでどんどん言って下さい。鮭川村とチョウ類保全シンポジウムのやさしい交わりが、私に生きる活力を与えたのです。イベントは大成功だったのではないでしょうか。チョウだけに留まらず、そこからいろいろな事が学び取れました。

鮭川村の朝2
AM4:00頃。鮭川村の温泉旅館の近くを流れる小川に太陽の光が反射してとてもキレイでした。とても清々しい朝だったので、眠い眼を擦りつつ辺りを散歩してみました。

 「里山生活」なんて言葉を最近よく耳にします。半世紀前まで日本中があのような田園風景の中、海の幸・川の幸・山の幸を食して、お天道様に日々を委ねて暮らしてきたなんて想像のつかない話です。それが、ふと気づくとコンビニが24時間やってることが当たり前になっていて、山道でコンビニを探している自分がいる。「ギフチョウ・ヒメギフチョウがいなくなった」とか「タガメがいなくなった」とか、虫好きからすれば「え、ヤバくない?」となり、虫に興味の人からすれば「そうなんだ、へぇ。で?」みたいな感じでどっちが正しいとかいうのはないのですが、結構ヤバイ話なのは事実かもしれません。何かが変わったからいなくなるわけで、何かが変わったことに気づいてないのはやっぱりヤバイことなんです、多分。虫がいなくなったことより、そんな事態になっている環境がヤバイ。「動物たちとの共存」などと言っても、結局のところ今の生活を続ける以上難しい話なのでしょう。都内にオフィスを構えてこのジレンマに気づいてない環境屋が居たら一番ヤバイ。実際にいるから生物屋が環境屋を反射的に警戒してしまうのかもしれませんね。本当に何から考えたらいいのやら自分なんかにはさっぱり分からない問題です。

鮭川村の朝3
明け方から農作業をされている方がいました。他にも三菜を採っている方がちらほら。鮭川村の朝はとても早いようです。

 結論として、自分にはいろいろ勉強が足りないことが分かりました。植物や環境を見ても、何が何なのか、どこがどうなのか、さっぱり分かりませんでした。まず、多分私は「良好な環境」というものを見たことが無かったんだと思います。これから、自然環境について最低限の学習をしていきたいです。そして、勉強をつんだらまた「しどけ」を食べに鮭川村に行こうかと思います。
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