おじゅっさんのおはなし

おじゅっさんのおはなし

~高照寺住職の真宗法話~

 

先日、知り合いであるAさんのお父さまの葬儀を勤めさせていただきました。


Aさんとは、子どもが小学生の頃から親しくさせていただいており、お子さんたちはお寺で開催している小学生の集い「寺子屋くらぶ」にも参加してくれていました。


このお子たちの通学の見守りを、Aさんのお父さまがされていたので、私もお顔を存じあげてはいましたが、住職とご門徒という関係ではありませんでした。


しかしある日、Aさんからお父さまが亡くなられたとのご連絡をいただき、ご本人が生前におっしゃていたという思いをお聞きしたのです。「私が亡くなったら、おじゅっさんに送ってもらいたい」


この言葉に恐縮するばかりでしたが、身の引き締まる思いのもと、葬儀の導師を務めさせていただきました。


葬儀式を終えて、Aさんのお子たちとも久しぶりに話しをする機会がありました。小学生だった彼らも、今では大学生と高校生。見違えるように大きくなっています。


そのとき長男くんが私に声をかけてくれました。「おじゅっさんに送ってもらって、おじいちゃんも喜んでいると思います」と。


翌日には次男くんが一人でお寺に来て私に言ってくれました。「一昨日、昨日とたいへんお世話になりました」と。


その成長ぶりにただただ驚くばかりでした。小学生の頃、あどけない笑顔で本堂を走り回っていたあの子たちが。


お父さまの生前の言葉、子どもたちの私への言葉に感極まった厳かな式でした。