錆青磁の声優引退という決意に、自分の義太夫の太夫という仕事を重ね合わせて考えてしまった。
若い頃から色々な諸先輩方・お師匠様方が第一線から姿を消す時、どんな風に去ったんだろうか…。
私の師匠、竹本越道師は、一度舞台で絶句してしまい、まだ語れるけれど芸の老いを自覚し、舞台を降りた。
絶句というのは、たまにあるけど、ご本人が有り得ないと思い、自分が許せない、それは最高の舞台をお届けする芸人としてのクオリティが保てない悲しみもあったんだと思う。
今も賢明な選択だったと思う。
その後、人間国宝のTお師匠様は、舞台でループして進めないという事態になり、何度か小さな誤りを繰り返し舞台を降りた。まわりも切ない状態でフェードアウトなさった。
ご病気で、まわりが大丈夫と言っても、当人が以前と同じ芸が出来ないからとフェードアウトなさったお師匠様もいらした。
反対に、義太夫が好きだからと車椅子で楽屋入り、舞台までお布団に仰臥なさって、お声も小さいのでマイクを付けて舞台に立たれた方もいらした。
私は、それを見ていて自分の師匠が誇らしく思えた!
師匠は、「マイクを付けるのは恥、生声で客席に届かなかったら辞めてしまえ、みっともないことするな」と日頃おっしゃっていらした。
舞台を退いたら存在する場所がないからと、しがみついたり、好きだからと続けるのはどうなんだろう。
きっと、物凄い寂しさ空虚がおそううんだろうなぁ~。
そろそろ、私も引退を考える時節到来かな~。
思い残すことの無いよう、まだやれるのにと言われながら引退の舞台を企画するか!十年以内、いや、五年以内かな…。
それまでやり残したこと、来年から一つずつ全うして行こうかな、そして引退後は後進の補佐?
いや、師匠の上を行くとしたら、すっぱり辞めるか?寂聴さんのように仏門?
錆青磁のように、引退後のプランもちゃんと建ててないとね!