祇園「みの家」の女将・薫さんから、瀬戸内晴美著『京まんだら』のサイン入り単行本が送られてきました。

わたしがなかなか上洛しないので。瀬戸内寂聴さんは去年3回忌。今年になっても源氏物語などの本が発売になっていますが、瀬戸内晴美時代のサイン本は貴重かも。本の天と地と小口に上巻は緑、下巻は紫の色。こんな贅沢なつくりの本を書店で普通に販売していたのでしょうか。

それから本を包んでいた包装紙。「チマコ」というのは薫さんの母親で、『京まんだら』のモデルとなった吉村千万子さんが経営していたスナック。「吉むら」は清水にあった旅館です。「こんな包装紙、つくってはったんやなあ」と薫さん。この柄の浴衣もあって薫さんは着ていたそうです。あるとき押入れの奥からこの浴衣が大量に出てきて驚いたとか。

長いようで短い人の一生。その間に憧憬の世界にいる人幾人に出会えるか。祇園のお茶屋という異世界を見せてもらい、本を1冊書かせていただいたのは、身に過ぎたご縁と感謝しております。