「獣道弐」の第三試合、“ウメハラvsときど”は、10:5で、ウメハラさんの圧勝でした。その圧巻の試合内容とともに、見た人に強い印象を与えたのが、ときどさんの涙でした。

 

 にじむどころではありません。文字通り、大粒の涙タラーが眼からこぼれました。

 そして、その後の落ち込み方。ムードは完全にお通夜でした。

 

 その敗北感の大きさが伝わってきました。

 

 

  

 

|| ときど の対策をはるかに超えていたウメハラの戦術

 

 10本先取でのウメハラさんの異次元的な強さを一番理解し、畏怖しているのがときど さんです。それが分かっているだけに、おそらく尋常でないほどの準備と対策をしたのでしょう。これなら勝てる、あるいは勝てないまでも五分の勝負はできる、と考えていたのだと思います。

 

 しかし、話が違った。。。ウメハラさんの戦術は、その想定をはるか超えていたのだと思います。ときど さんの豪鬼の動きは、明らかに困惑した様子で、攻防ともうまくいっていないのが見て取れました。攻めてもたいしたダメージはとれない、逆に攻めようとするところにどんどん技を喰らってしまう。画面端に追い込もうとしているのに、ニュートラルや前歩きで、全然ラインを上げられない。予定通りに、思うように試合を進められていないのは明らかでした。

 

 逆に、ウメハラさんからすれば、ときど選手の動き、やってくる戦法はほとんど想定内といった様子で、慌てる様子がなく、多少ダメージを受けても、冷静に相打ちOKも含めて、ときどさんに攻撃の流れをつくらせないことに完全に成功していました。あの ときど豪鬼に、ここまで何もさせない戦い方ができるのか?信じられないような光景の連続でした。

 

|| 自分の“完璧”=枠を超えられた

 

 ときど さんは、やりながら恐怖していたかもしれません。完璧と思われた自分のやりこみ。しかし、完璧と思ったのは、あくまで自分の想定の中でのこと。

 

相手はさらにそれを超えた領域に到達していた。


 そのことが理解できてしまったのだと思います。この戦いに勝つことができれば、プレーヤーとして、ウメハラさんの域に自分もたどり着いたことを実証できる、という狙いもあったと思います。

 その狙いは物の見事に失敗し、木っ端微塵に打ち砕かれてしまった。同時に今回の敗戦を、プレーヤーとしてのスケールの差、人間力の差のように感じてしまったのではないか?と思われます。

 あそこまで落ち込むのは、それくらいの、とてつもない敗北感だったのだと思います。

 

 試合の最後に、大量リードを奪ったウメハラさんのガイルが下がり、ときど豪鬼が、なけなしの体力でそれを追う場面が、今回の試合を象徴しているように見えました(57:50あたり)。

 

 

 

|| 頑張れ、ときど!

 

 準備をしていったのにダメ。これでもかと対策をしていったのにダメ。そういうことは、あると思います。勝負ですから、運もあるし、想定外ということもあります。

 

大事なのは、ここからの態度であり、取り組み方です。

 

 すぐには難しいかもしれないけれども、ときど選手は、ものすごい成長・発展の機会を掴んだのだと思います。これを理解し、消化・吸収できたとき、ときどさんは、ウメハラさんの領域、あるいはそれを超えた域に至るのではないでしょうか?

 

 素人目ですが、ときどさん、ちょっと真面目にやり過ぎている可能性があるように思います。一方、ウメハラさんは、ベテランになっても、ゲーム自体をまず楽しみ、普通の人がやらないような動きの中に、もっと新しい・面白い戦術は無いか?と楽しみながら探しているような感じがします。もっと広く、画面を見て、いろいろな動きを試してみてはどうかな?と思いました。

 

これを乗り越えていく、ときど さんの姿を大勢の人が見たいと思っているはずです。

 

頑張れ、ときど!