よくサッカーの国際試合などでは、
ホームかアウェイかが問題になりますよね。
ホームとは、試合会場が自国、
アウェイとはその逆、という意味です。
一般的に、
ホームは有利、アウェイは不利
といわれます。
実際、データをみると、
地元で行われるホームゲームの確率は、
敵地で行われるアウェーゲームより
高いそうです。
これは何故なのでしょうか?
『ホームチームの勝率が高くなる理由
(松尾順、2012年08月17日)
ITmedia ビジネスオンライン
に興味深い記事があったので、紹介します。
記事では、まず次の3つを挙げています。
1.アウェーチームは遠征の長旅で疲れて
いるから
2. アウェーのゲームはしばしば過密日程に
なりがちで、アウェーチームの疲労が蓄積
されやすいから
3.地元のファンの熱心な応援、あるいは
恫喝(笑)で、ホームチームのやる気が
高まるから
以下、転載します。長文になりますが、
たいへん面白い解説なので、読んでみて
ください。
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”このなかで、直感的に一番影響が大きいと
思われるのは、「地元ファンの応援」で
しょうか?
ところが、シカゴ大学ビジネススクール
教授、トビアス・J・モスコウィッツらが、
サッカーやアメフト、野球、アイスホッケー、
バスケットボールなど、過去数十年に及ぶ
膨大な試合データを緻密に分析したところ、
上記3つの理由のどれも、ホームチームの
勝率に影響を与えているという結果は得られ
なかったのです。
では、何がホームチームの勝率を押し上げて
いたのでしょうか。
それは、審判の「地元びいき」的な判定
だったのです。
ホームゲームとアウェーゲームで比較すると、
ホームチームに有利な判定が下されやすく、
一方、アウェーチームに不利な判定が下される
ことが多いということが数字として明確に
現れてきました。
例えば、野球で言えば、ホームチームの
バッターは見逃し三振が少なく、フォアボール
が多くなるのだそうです。
ストライクかフォアボールかは、最終的には
審判の主観的な裁量に委ねられています。
もちろん、誰が見ても明らかなストライク、
あるいはボールには、主観的判断はほとんど
入り込めません。
しかし、ストライクかボールかどちらか
微妙なコースの時、審判は“無意識に”ホーム
チームに有利な判定をしてしまう。
つまり、「ボール」とコールすることが多く
なるため、見逃し三振が減り、フォアボールが
増えるということです。
サッカーでも、過去試合データを分析して
みたところ、アウェーチームがファウルを
取られる数が増えることが分かっています。
とりわけ面白いのがロスタイムの違いです。
ロスタイムは、選手交代や選手の負傷などに
よるゲームの中断時間を主審が裁量し、
任意に決定できるゲーム延長時間ですね。
過去の試合データの分析によれば、
ホームチームが1点勝っている時のロスタイム
は平均で「2分」ちょっと。
逆に、ホームチームが1点負けている時の
ロスタイムは平均で「4分」と、ホームチームが
勝っている時の2倍の長さになるのです。
素直に考えると、ホームチームが勝っている
時は、速やかにゲームを終わらせたい。
逆に、負けている時は、できるだけゲームを
長引かせ、ホームチームに得点のチャンスを
与えたいという意図が主審にあるとしか
思えないですね。
しかも、1点差の接戦でない場合、つまり2点
以上の差でどちらかが勝っている場合、
ロスタイムは、常にほぼ一定した長さで違いが
ないのだそうです。
これは、ロスタイムで2点以上の差を埋める
のはさすがに難しいと、主審が判断している
からだろうと推測できます。
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さて、審判の方々の名誉のために解説しますが、
実のところ、審判は、明確に意図して
「地元びいき」の判定・裁量をやっている
わけではありません。
審判の方々はできるだけ公明正大にプレーを
見極め、正確な判定をしようと心がけて
いるのです。
それでも、結果として「地元びいき」に
なってしまう理由は、モスコウィッツ教授らの
分析によれば「集団への同調圧力」の影響だ
と考えられています。
ホームゲームでは、地元ファンの目が多い。
みな、ホームチームが勝ってほしいと願っている。
彼らは始めから「地元びいき」です。
微妙なプレーは常に、ホームチームに有利な
判定になることを望んでいるわけです!
そうした雰囲気を感じている審判は、
“無意識”にホームチームに対して有利な判定を
してしまいがちになるのです。
つまり、ホームゲームの観衆の「総意」とでも
言えるものに、審判も無意識に同調して
しまうというわけです。
逆に、総意に反する判定はとてもやりにくい。
ストレスを感じてしまう。
実際、ホームチームに不利な判定をした審判は、
地元ファンから大きなブーイングを受ける
ことも少なくないわけですから。
なお、ホームチームの勝率に審判の判定が
影響を与える大きさは、審判の主観による
判定部分が多いサッカーやバスケットボール
などで大きく、主観的な判定部分が相対的に
少ない野球などでは小さくなります。
この分析も、審判が「集団への同調圧力」を
受けて、主観的な判断にはバイアスが
かかりやすいことを裏付けるものと言えますね。
オリンピックでも昔から「主催国効果」
(主催国選手が活躍することが多い)があると
言われてきています。”
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なんとも興味深い研究結果です。
公正であるはずの審判が、無意識に
ここまで判定をゆがめてしまうとは・・・!
さて、ここからわかることは、
人間が公正な判断をするのは、
かくも難しいということです。
逆の言い方をすれば、
自分が公正な判断をしているつもりでも、
実際には公正でないことも多い、
ということになります。
特に「集団への同調圧力」には要注意ですね。
日々の生活でも、
「周囲の期待に応えたい」
「あの人たちはこう思っているに違いない」
とかで、無意識のうちに判断を誤っているケースが
多いのでしょう。
それに気づかず、自分では、冷静で客観的な
判断をしているつもりになっている。
あるいは自分自身に対しても、実際より
低い評価をしてしまっている場合も
多いのではないか、と推察します。
ちょうど、アウェイの試合の審判のように・・・。
そのようにならないように、気をつけたい
ものですね。
今日の話が、少しでもお役に立てば幸いです。
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