「酒は百薬の長、だから飲んだほうがいい」
といわれたことありませんか?
昔などひどいときには、風邪などひいていて
体調不良のときにも、先輩から、
「酒で消毒すると治るぞ」
などといって、薦められたものです。
たしかに酒を飲むと、体がポカポカしてきて、
気分も陽気になり、調子がよくなる場合も
あります。
こうした経験が積み重なり、
「酒は百薬の長」
という言葉が、有名になっているのでしょう。
ところが、最近の研究によると、酒はむしろ
健康に害のあることが、判明しているようです。
2018年に、ケンブリッジ大学のアンジェラ・
ウッド博士らが発表した研究結果によると、
【40歳時点での平均余命】
・純アルコール量が週に100〜200グラム
→ 6ヵ月の余命短縮
・純アルコール量が週に200〜350グラム
→ 1~2年の余命短縮
・純アルコール量が週に350グラム以上
→ 4~5年の余命短縮
というデータが発表されました。
アルコール100gとは、日本酒5合、あるいはビール
350ml×7本てすから、衝撃的な結果です。
酒好きには、何とも耳の痛い話ですね。
「酒は百薬の長」とは、もともとは中国古典の
漢書にある言葉です。
それを、兼好法師が徒然草のなかで引用して
いるのですが、
実は、徒然草の「酒は百薬の長」のあとには
続きがあるのです。
”百薬の長とはいへど万の病は酒よりこそ起れ”
長くなりますが 前後を訳すと、
"現生においては過ちが多くなり、財産を失い、
病にかかる。酒は百薬の長とはいうが、
あらゆる病は酒から起こっている。
(酒を飲むと)辛いことを忘れるというが、
酔っている人は、過ぎ去った過去の
辛いことをも思い出して泣いているようだ。
生まれ変わった先の後世においては、
酒は人の知恵を損ない果報をもたらす
前世での良い行いがあっても火のように
焼き尽くしてしまい、悪を増し、
あらゆる戒…仏教の掟を破って、
地獄に落ちるに違いない。
「酒を取って人に飲ませる人は、
五百回生まれ変わる間、手の無い者に生れる」
と、仏はお説きになっているということである。"
まるで酒を目の敵にしているような、
すさまじいまでの書き方です。
兼好法師は、よほど酒が嫌いか、ひどい目に
合ったことがあるのかもしれません。
さて、今回、何がいいたいのかというと
お酒を適度に飲みましょう!
ということではありません。
(それも多少ありますが・・・)
"何かの話を聞いても、
すぐ鵜呑みにしてはいけない、
前後の文脈含めて、確かめてからでないと、
誤解してしまう"
ということです。
私がライフワークとして取り組んでいる
古代史研究でもよくあります。
文献の一部だけを切り取って、自分に
都合のいいように解釈している説が、
なんと多いことか・・・。
日常でもそうですね、
何かの話を断片的に聞いて、すぐに
「あの人はこうだ」
とか、
「この話はこういうことだ」
と結論づけてしまう。
人間は、なんでも自分の都合のいいように
解釈する傾向があります。
酒好きな人にとってみれば、
「酒は百薬の長」
とは、実に都合のいい話です。
ですが、一歩引いて考えることも大切です。
コーチングも同じだと思いました。
クライアントの話を聞いて、すぐに判断して
しまう、これはもっとも危険です。
質問を重ねることにより、より心の奥底に
ある深層心理を洞察していくことが大切です。
いやその前に、クライアントの声の調子や
表情、身振りなど、よく観察します。
それらの情報を総合的に勘案して、
はじめてクライアントの心の叫びを
知ることができます。
今後の戒めにしないといけないなあと、
「酒は百薬の長」の話から、あらためて
思った次第です・・・。
今日の話が、少しでもお役に立てれば幸いです。
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