月初めに、この一ヶ月に行うべき業務の拾い出しをし、業務計画書へ書き出す。そして、一つひとつの業務に所要時間を入れ込む。タイムマネジメントで、この作業をしている者は誰でも気づいていることがある。


 それはいつも、圧倒的な時間の不足である。そこで、しょうがない。残業を覚悟しての時間配分をしてしまう。内心、「とても、ムリ」と思いつつも、「そのときは、その時だ」と事態を収め、思考省略してしまう。


 そこで、時間の有効活用でよく話題にされるのは優先順位のつけ方・・・・・。限られた時間の中で、なすべきことがたくさんあるとき、当然ながら優先順位をつけて一つひとつを片付けていかなければ、すべてが中途半端になってしまい、収拾がつかなくなる。その意味において、優先順位は大切だ。


 しかし、問題が一つ残る。手付かずに残された仕事の量は減らないということである。それはいつ行うのか。そこから、クレームが発生しないだろうか。


 この点について、ドラッカー先生の指摘は鋭い。


 「本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できる者があまりに少ないのは、“劣後順位”の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が至難であるからである」。


 つまり、タイムマネジメントにおいては、“劣後順位”つまり、やらなくていいことをやめてしまうことのほうが大事だという。


 しかし、多くの人は次の理由でためらうという。「延期は断念につながる。そのことが何事であれ“劣後順位”をつけて延期することを尻込みさせる。最優先でない仕事ではないと知っていても、“劣後順位”をつけることはあまりに危険であると思ってしまう。捨てたものが競争相手に成功をもたらすかも知れない・・・・・」。



 いずれにしても、どの仕事が重要であり、どの仕事が重要でないかの決定が必要となる。その決定をしないかぎり、状況からの圧力に屈し、流されてしまう。そして、状況からの圧力は、「未来よりも過去を、機会よりも危機を、外部よりも内部を、重大な者よりも切迫したものを優先する」という。



 ドラッカーは、優先順位を決定する原則として、「第一に過去ではなく未来を選ぶ、第二に問題ではなく機会に焦点を合わせる、第三に横並びではなく独自性をもつ、第四に無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ」としているが、“劣後順位”の決定はその裏返しともいえる。そして、優先順位と“劣後順位”、いずれの決定においても、重要なことは分析ではなく、勇気であるという。

(H23.7.11)