“バランス”(balance)とは、ラテン語の「二つの皿、天秤」を意味する単語が語源となっているそうで、「釣り合い、均衡、天秤、安定」というような意味がある。


 人生や仕事、人間関係、スポーツなど、すべてに“バランス”感覚は大事だ。


 ある社長は、「商売は天秤だ」という親からの教訓を大事にして、始めた事業を大きくされている。一方が儲けすぎると片方が損するわけで、結局は長続きせずに終わる。生涯価値をお互いに高め合う“バランス”、つまり関係性が必要だ。


 「あいつは“バランス”感覚がいい」という言葉には、要領の良さみたいな意味合いが含まれるが、基本的には達磨(ダルマ)のような、倒れない、坐りの良さを身につけているのだろう。あらゆるスポーツもそうだが、“バランス”を崩すと、安定感を欠き、持続的な成果が期待できなくなる。


 バランス・スコアカード(BSC)は、企業変革を推進するために戦略を①「財務(過去)」、②「顧客(外部)」、③「内部業務のプロセス(内部)」、④「イノベーションと学習(将来)」という4つの視点から構築し、実践・検証することを提唱したものであるが、まさに戦略の“バランス”である。


 「マネジメントの良否は、目標設定の“バランス”で決まる」と、ドラッカーは語る。まったく同感だ。


目標達成は、目先とその先の将来との“バランス”を考える必要がある。


目標達成は、目標間の“バランス”を図る必要がある。


目標達成は、全体と部分との“バランス”に配慮する必要がある。


以上の“バランス”は、少なくともマネジメントできなければならないと考える。


 このように考えると、“バランス”的な思考こそ事業のマネジメントにとって極めて重要であることが理解できる。


 そして、戦略思考と“バランス”思考はある意味で同義だと思うが、これらの思考に立つときいつも思い出されるのが安岡先生の「思考の三原則」である。


目先にとらわれず、長い目で見る。


物事の一面だけを見ないで、できるだけ多面的・全面的に観察する。


枝葉末節にこだわることなく、根本的に考察する。


 人間というものは往々にして、現象的で、安易なものに流され、物事の本質を見失いがちであることへの教訓である。


 事業とは、天秤。“バランス”とは、マネジメントや目標管理にとって重要なキーワードであり、安定的な成果や坐りの良さを与えてくれる。

(H23.6.20)