共同研究の場で参加者全員のコミュニケーションを円滑に行うためには、場に対する共通認識が必要だ。そのためには、メイン・テーマに対する“定義”を明確にする必要がある。
今回の「新ビジネスモデル研究会」(NBM第10期⑤)のテーマは、「新たな事業領域を確立するために必要な組織体制について」であった。
普段に仕事をしている日常性の中では、ほとんどの人にとって、組織は与件である。
組織の中で、様々な問題を抱え、苦労をしているにも関わらず、組織そのものについて深く考えたことはないのが一般的のようだ。どこか、組織体制を考えるのはトップの仕事だという思い込みがあるのだろう。
そこで、「組織とは何か?」という“定義”から入る必要がある。また、“定義”を明確にすると、自分にとって極めて大切なことであることに気づかされる。
チェスター・バーナード(1886~1961)という人は、「組織とは何か」「人はなぜ組織を形成するのか」「組織がなくなるのはなぜか」という素朴な疑問を発し、組織の本質をはじめて考えた人だといわれている。
そのバーナードの組織の“定義”は、こうだ。「組織とは、協働行為の体系である」。実にシンプルな概念化だ。私は、この“定義”に出逢って以来ずっと、そうあるべき組織を求めてきたような気がする。
「組織を協働行為の体系」と“定義”づけると、その成立条件も明らかになる。
① 目的の共有
② 貢献意欲
③ コミュニケーション
ドラッカーもそうだが、物事の本質を捉える思考力がある人の言葉は示唆に富んでいて、力強い。
“定義”が明確になると、それがあるべき姿の道標になる。そして、現状の課題が浮き彫りにされてきて、為すべきことの頭の整理がスムーズにできるようになるから有難い。
仕事や会議においても同じである。自らの仕事や参加する会議の“定義”を明確にするだけで、効率や効果が見違えるほど変わるはずだ。特に、自らの仕事の“定義”は重要だ。それができずに雑用を抱え込んでいる人がけっこう多い。「私の仕事は、これ!」と胸を張っていえるようになれば、生産性は格段と変わるだろう。
“定義”に優れている人は、選択と集中に長けており、生産的である。
(H23.6.6)