日本M&Aセンター(東証一部上場)主催の「M&Aセミナー“会社譲渡体験談”」で体験談を話される社長の顧問税理士という立場で参加した。


 東京・大阪・名古屋の3会場で行われたが、どの会場も満席で、熱気に溢れていた。経営者の“M&A”に対する関心の高さを改めて知ることができた3日間であった。


 今や“M&A”は、企業の生き残りあるいは成長戦略の選択肢として、中小企業にとっても重要なポジショニングを占めるようになった。中堅・中小企業の“M&A”仲介に 滅法強い日本M&Aセンターによると、年間5000件に及ぶ引き合いや接触がセミナー等いろいろな形であるという。そこから、“M&A”案件が成立する確率は5%程度だろうと推測される。だから、ハードルはけっこう高い。


 “M&A”は、売り手と買い手のマッチングである。お互いが気に入らなければ、お見合いと一緒で成立しない。


 今回の事例は、お見合いから3か月でゴールインしたケースであるから、本当に驚くべきスピードであり、成功の事例だといえよう。なぜ、そんなに上手くいったのか?考えるに、一つは両社トップの決断力の凄さだろう。もう一つは、両社がお互いに魅力を感じさせることができたからだろう。一言でいうと、日頃の備えの良さだろう。


 “M&A”には当然ながら、リスクが生じる。売る側は、あらゆる経営リスクから解放される一方で、生き甲斐(仕事、責任、挑戦、貢献など)を失い、気が抜けてしまうというリスクが生じることもある。やり手の創業者社長は、特に陥りやすいので気をつけたほうがよい。


 買う側は、新たな成長領域への期待があると同時に、引き受けた会社の未来に対して責任を負うリスクが発生する。勿論、折り込み済みだと思うが、念を入れることに越したことはない。


 いずれにしても、決断にリスクはつきもの。今は、決断しないリスクが一番大きいといわれる時代である。能動リスクを取りにいかなかったばかりに受動リスクを背負わされた経営者が、いかに多いことか・・・・・。


 “M&A”成功の秘訣は、①売り時(買い時)を逃さない、②すぐには売れない(買えない)、③善きアドバイザーに依頼する、の三点だという(日本M&Aセンター・三宅社長)。アンケートでは、売り買いの両方に関心を示す経営者が多いそうだ。未来に対する複雑な思いが伝わってくる。ゆえに、善きアドバイザーの存在が重要となる。


 あらゆる角度から、自らの計画をつくってみるべきだ。「“M&A”、備えあれば憂えなし」という事であろう。

(H23.2.21)