いよいよ今年も最後の“考える言葉”シリーズとなる。締め括りを何にしようかと思案していたら、ドラッカーと“未来”という言葉が思い浮かんだ。


 さて、ピーター・F・ドラッカーは“未来”について次のように語っている。

 「“未来”を知る方法は二つある。一つは、自らの手で“未来”を創ることである。もう一つは、すでに起こった“未来”を予期することである」。


 この言葉は、経営計画を策定において、自社のヴィジョンを想い描くとき、もっとも思索の拠りどころとなる言葉だと考える。私がいう「“未来”は予測するものではなく、洞察・創造すべきものである」という発想も、そこからきている。


 先ず一つ目、自らの手で“未来”を創る。これは事業を成功させるための第一条件である。成功者は、すべて自分の確かな“未来”をもっている。それは事業者の内面にある大志であり、会社の理念・目的・ヴィジョンという形で表現している。また、“未来”を語る自分の言葉を持っていないとリーダーシップの発揮は難しいだろう。


 次に、すでに起こった“未来”。これは、外部環境で起きている変化のことである。その変化を捉え、その影響力をみることによって、“未来”を知ることができる。グローバル化、人口や環境の問題、エネルギーや食料などのもたらす変化、業界を変えようとするイノベーターの動きなども注視する必要がある。さらに、人々の価値観の変化が社会にもたらす影響も無視できない、“未来”を知る大きな要因となる。


 「変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化をつくりだすことである」 これも大好きな、ドラッカー語録の一つである。


 “未来”にもっとも影響を与えるのは、自分の意思であると考える。ぶれのない意思力、つまり大志である。何を成し遂げようとして、日々を生きているのか。その内容が充実しており、他の共感性が高ければ高いほど、自分の意思と未来はいっそう重なり合ってくるだろう。


 大志とは、おのれの狭い思惑や自分本位な計算や安逸な妥協などの自分を超えた大きな存在へ貢献しようという強い意思である。


 混沌とした社会や経済情勢のなかで、自社の“未来”を描けないで不安を抱えている経営者が多いという。じっと待っていても、自分に都合がいい“未来”が再び出現する可能性はゼロに等しいと考えた方がいい。


 大事なのは、主体的に生きることだ。自らが変化の中心になることだ。それは、自らを奮い立たせる大志を抱くことだ。大志を抱いて生きるということは、つねに限界にチャレンジし、成長し続ける生き方である。その延長線上に“未来”が創られてくる。

(H22.12.27)