今回のIG経営塾主催の大型定期セミナーは、ベストセラーとなった『日本で一番大切にしたい会社』の著者として有名な坂本光司教授(法政大)に、講演を頂戴した。
何度か講演を拝聴しているが、いつも心にしみる話で有難い。参加者のアンケート結果も上々。その内容をいくつか紹介したい。全国各地の6千社に及ぶ中小企業にじかに足を運び、氏が得た経営の神髄は一言でいうと、“社員満足”の追及である。
「経営においては、常に“5人”の幸福を念じ、その実現を図らねばならない。第一は社員とその家族、第二は下請け企業などの社外の社員とその家族、第三は顧客、第四は地域住民、第五は株主である」と、氏は語る。その中で、もっとも優先すべきが“社員満足”の追及で、今までの株主や顧客を最重視し、その満足を高める経営が目標とされていたが、それは間違っているという。
「顧客第一主義を錦の御旗に掲げて、長期に安定した会社は一件もない。社員の幸せこそ、長期安定の元である」
「感動したことがない社員が、顧客を感動させることはできない!」
さらに、教授曰く「不況時に、会社がダッチロールする最大の原因は人員カットという安易なリストラにある」 不況対策は、次の3つをきちんとやることである。
1.景気の生け贄にならない商品をつくる
2.過度の依存をしない(一つの商品、一つの取引先など)
3.コスト削減(=リストラ)
総人件費の抑制は、社員数ではなく、平均賃金にこそメスを入れるべき。それで、不平不満をいうような仲間意識のない人間はやめてもらえばいい。その人間こそ、いずれ組織の元凶になる。
「不況は経営者ばかりか、社員の本性も顕在させる。だからときどき不況になったほうがいい」と、言い切る(「経営者の手帳」坂本光司 著)。
戦後から80年代まで世界を席巻した日本企業が、今低迷している。何がどう変わったのか、話題視されている。一言でいうと、組織内の人間関係の濃度が薄れているという。確かに、就業後の飲みニケーションは少なく、帰属意識も薄れているようだ。関係性の稀薄性が、社員の愛社精神やモチベーションの低さにつながり、活力ある企業を少なくしている一因といえるかも知れない。
社員を大事にする会社は、経営者をはじめとする社員同士の信頼関係の絆が強いのは当然だ。“社員満足”の高い組織は、フォーマル・インフォーマルに関わらず関係性が濃く、結束力の強い会社である。だから、つぶれない。
(H22.12.6)