専門学校卒で入社して16年になる中堅社員の結婚式があった。近年の流行なのか、媒酌人はおらず、いきなり新郎新婦のウエルカムスピーチで“セレモニー”がはじまり、そして司会者が新郎新婦のプロフィールを紹介する。


 二人の幼い頃からの写真が、スクリーンに大きく映し出される。小さい頃の愛くるしい写真をみていると、当然のことながら、人は誰もが親の愛情を目いっぱい受けて育っているのだと改めて実感し、いろいろな意味で感謝の気持ちが自然と湧いてくる。


 また、二人の馴れ初めや交際期間中のデートのエピソードを聞くと、知り得なかった二人の世界がけっこうあって、いつも忙しそうに残業ばかりしていたようだけど、ちゃんと取るべき時間は取っているのだと、少し安心した。


 考えてみると、人間は自分の関心の及ぶ範疇においてしか、普段のコミュニケーションをとっていないのだと気づかされた。これでは人を一面的にしかみておらず、真にその人のいい所を引き出すことができていないのではないかと、大いに反省するところがあった。もう一歩踏み込んだ対話を心がけようと思う。


 主賓の挨拶、お鉢がこちらに廻ってくる。主賓として口にすべきでない不用意な言葉というものがあるようで、とにかく褒め言葉が必要だ。これも普段から褒めるという視点で観察をしていないと、通り一遍の建前になってしまい、聞いている人に見透かされてしまうので難儀だ。


 これは一つのアイデアだと思うが、新郎の現状を語るのを少なくして、彼が仕事を通して目指している方向性などに重点をおいて、彼の将来ヴィジョンを語ってあげるのはどうだろうか。未来を語ることに嘘はないのだ。そしてさらに、新婦も一緒になって支えようという気持ちになってもらえば、それに越したことはない。


 友人代表の挨拶は、新郎に対しての暴露ネタや悪ふざけのジョークがけっこう多いのだが、彼女と付き合いだしてからの新郎に起きた変化に目をつけてしゃべっていたのは、上品でよかったと思う。


 結婚とは、基本的には、一生に一度の“セレモニー”だ。人生において、これほど周囲から祝福され、もてはやされる機会は、そうはないだろう。その場に集まって、祝福してくれた多くの人たちと、その後どのような関係性が保たれていくのか分からないが、これらの縁を一過性のものにしなければ、大きなエネルギーが湧いてきそうな気がした。


 さらに結婚とは、人生における一つの大きな転機だと考える。これを機に、今までの自分の人生を振り返り、新たな自己と出逢うチャンスにしてもらいたい。

(H22.6.21)