ある会合での話題・・・・・。「もし税務署へ申告をしなくても済むのなら、税理士にお金を払ってまで“決算”をする社長が何人いるだろうか?」 あなたが社長だったら、どうだろうか・・・・・。


 「商売をしている以上、“決算”は義務だ」と教え込まれ、やらされてきた感がある社長だったら、恐らく「お金を払ってまで、やる必要はないだろう」と考えるに違いない。ここに、多くの中小企業の危うさがある。本来、密接な関係にあるべき「経営」と「会計」の乖離という問題である。

 “決算”の目的は、診断にある。儲かったのか損をしたのか(P/L)、つぶれる心配はないのかどうか(B/S)を定期的に診断するためにある。経営者にとっては、みずからの経営の舵取りが正しくできたのかどうかを自己診断する機会だといえる。そして、その診断結果を次の一手に活かすのが「経営」なのだ。

 然るに、“決算”は不要どころか、“月次決算をやるべきだと考える(中には、“日次決算”を励行している社長もいるという)。できれば翌月一日に、遅くても上旬までに行なう体制づくりが肝要だ。そのためには、経理への各部署の日頃からの協力が欠かせないので、社長の決心が必要だ。もちろん、経理の主体性も問われる。

 では、社長は“月次決算”の何をチェックすべきなのだろうか。


 先ずは、「利益と資金」の関係性を確認する。必要最小限の利益は確保できたかどうか、その結果資金は潤沢になったか。そうでないとすれば、何が原因しているのかを追究すべきである(回収と支払のバランス、適正在庫、流動比率のチェックなど)。

 次に、「営業利益」の確保に注目したい。売上と原価の増減のバランス、そして固定経費の増加には目を光らせる必要がある。本業の成果であるから、営業利益率などの目安を明確に持っておくべきだ。

 そして、「バランスシート」に注目しよう。先ずは、「左上(現金・預金)」と「右下(自己資本)」の増減をチェックする必要がある。いずれも増加していれば、健全化している証拠だ。


 次に「資産」の増減をチェックしたい。「資産」にはサボり癖がある。ちょっと油断するとすぐに寝てしまうのだ。「売掛金」は個々に厳しくチェックする必要がある。「過剰在庫」は資金繰りを圧迫する。そして、「固定資産」は遊休化していないかどうか定期的に確認しよう。


 “決算”は、定期診断だ。思いつくままでも、かなりの効果が見込まれる。現に、手堅い社長は“月次決算”を確実に実行し、習慣化しているのである。

(H22.5.24)