人の一生に“ライフサイクル(Life cycle)”があるように、事業にも次の4つの段階の“ライフサイクル”がある。


(1) 導入期(introduction stage)


 事業発達の初期の段階をいう。未だ、市場が確立できておらず、当然ながら顧客の認知度も低い。いかにして顧客を創造するか(潜在ニーズの掘り起こし)、あるいは有効なビジネスモデルの確立が基本的なテーマとなる。同業他者の存在はなく、あったとしても競合関係は気にならない。むしろ、顧客とのコミュニケーションを通して、支持される体質をつくるための挑戦、自分との戦いが重要視される。


 それゆえに、「何のために」という事業を起こす目的を問い続け、やり続ける覚悟を決める時期である。


(2) 成長期(growth stage)


 事業が市場で認知され、浸透してくる段階をいう。もっとも、事業の成長が著しい時期である。第一の波に乗った優位性を活かし、しっかりと自らの市場を確立し、あらゆる面で業界の先駆的な役割を果たす必要がある。


 新規参入者が増えてくるので、差別化をはかり、ブランド戦略を確立する必要が出てくる。油断をせず、顧客の声をつねに拝聴し、サービスの質や多様性を高めていくことだ。


(3) 成熟期(maturity stage)


 事業が成熟化し、市場の成長が鈍る段階である。成熟期では市場規模はほぼ一定であるため、低価格によるシェアの奪い合いがはじまる。体力のない企業は生き残ることが第一の目標とせざるを得ない。強みを活かした集中戦略を描けるかどうかが問われるであろう。


(4) 衰退期(decline stage)


 事業発達の末期段階である。衰退期の段階に入ると、売上は低下し、利益も激減する。撤退するか、イノベーションにより新たな価値の創造を行うか、どちらかの戦略をとることになる。


 以上、事業の“ライフサイクル”について述べてきたが、ものごとの始まりから終わりまでの全体像の中で、各段階がどのように位置づけられるかを考えることによって、段階ごとの課題が明確になるので、“ライフサイクル”の概念は事業戦略を考えるのに、非常に役に立つといえよう。


 次回は、今日における重要な経営課題の一つ、事業化について考えてみたい。

(H22.2.8)