経営者の役割の一つとして、“触媒”としての機能が求められる時代ではなかろうか。
“触媒”とは、特定の物質の化学反応の速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。生体内では、酵素がその役割を担っており、あらゆる生命活動の主役ともいわれている。
経営者に求められる“触媒”的機能とは何だろう?企業は本来、目的集団。「協働行為の体系化」として定義付けられ、その構成メンバーは組織の掲げる目的・理念において統合されていなければならない。
しかし、組織における役割の分担化はセクショナリズムという分離思考に陥ることが多い。その原因は、手段の目的化にある。役割分担は手段にすぎないのだが、分担化された部分に特定の目的が生じ、それが全体目的と錯覚されてしまうからだ。そして、組織の硬直化がはじまる。
セクショナリズムに陥った組織の状態を統合するには、経営者のリーダーシップが必要とされる。つまり、”触媒“としての機能が働くことによって、多様性が一つの価値に統合されるのである。
また、人材の育成においても経営者の“触媒”的機能が求められる。
21世紀に企業が存続するためには、より多くの人々がより強い主体性を発揮することが求められる。主体性を発揮できる人材とは、自らの座標軸を持っている人であり、そのためには自己イメージの統合が求められる。その“きっかけ”となるのが経営者との出逢いである。つまり、出逢いが“触媒”となり、自己イメージが統合され、主体的人材へと自己革新していくのである。
では、“触媒”的な機能を持つ経営者とは、どんな人をいうのだろうか。
① 共感性の高い未来を語れる人
② 人の心に火をつけることができる人
③ 多様性を価値化できる人
④ 全体最適の思考ができる人
⑤ 関係性の思考ができる人
今私たちはグローバル化という相互の結びつきが強い時代環境の中にいる。ゆえに、一人ひとりがいつにおいても、自らの意識の境界を打ち破り、多様性を受け入れる心の準備を怠ってはならないと思う。
組織における“触媒”とは、新たな価値を創造するために多様性を結びつけるリーダーシップなのだ。もちろん、経営者の役割と限定する必要はない。
(H21.10.26)