最近、よく耳にするのが“第二創業”という言葉だ。事業承継との絡みで話題になることが多いが、もっと広範において、いまや企業存続のキーワードであるといっても過言ではない。


 “第二創業”とは、企業にとって激変する環境のなかでの生き残りを賭けた戦いであり、そのための自己革新の断行を意味する。自己革新とは、ジョセフ・シュンペーター(18331950)の唱えたイノベーションと同義と考える。「古い自己を壊して、新しい自己を確立する。それによって、社会的に意義のある新たな価値を創り出すことができるかどうか、あるいは社会的に意味のある大きな変化をもたらすことができるかどうか」なのだ。


 第二創業期において、企業が生き残りかつ成功するためには、「社会への影響力をもった自己革新を断行する」というイノベーション思考は示唆に富んでいる。


 ピーター・ドラッカーは、「急激な変化と乱気流の時代にあっては、たんなる対応のうまさでは成功を望みえない」として、「組織自らが、全体としてチェンジ・エージェントへと変身し、自ら変化をつくりだすことである」と述べている。


 そのためには、次の四点を行うべきだとしている。


 第一に、成功していないものはすべて組織的に廃棄しなければならない。


 第二に、あらゆる製品、サービス、プロセスを組織的かつ継続的に改善していかなければならない。


 第三に、あらゆる成功、特に予期せぬ成功、計画外の成功を追及していかなければならない。


 第四に、体系的にイノベーションを行なっていかなければならない。


 「言うは易し、行うは難し」とは、この事だろう。しかし、それほどに“第二創業”とは覚悟を決めて、取り組まなければならない経営課題なのだ。


 “第二創業”を成功へ導く唯一方法があるとすれば、経営計画の策定をしっかりやることだと確信している。しかも、後継者をはじめ次世代を担う人材と共に、経営の根本を問うことからはじめ、理念・目的やヴィジョンを想い描き、とるべき進路をはっきりさせよう。考え抜いた経営計画には、現実を変える力がある。計画策定のプロセスは、思考のプロセスである。それに関わった人間の思考力を確実に高めることができる。乱世を乗り切る実力とは、深く思考する力のことである。


 今のトップにとって、“第二創業”期に策定する経営計画とは、経営を次世代へ委ねる決意であり、自分がいなくても戦える組織を描けるかどうかであろう。

(H21.9.7)