わが国の“農業”の危機が叫ばれて久しい。離農問題、担い手の高齢化、遊休農地の増加、それらが食料自給率の低さにつながって将来の食糧危機へ・・・・・。
某雑誌に“農業”に関する特集が掲載されていたので紹介する。想像以上に深刻な事態であることを改めて痛感した。
政府は、2015年の算出額目標を8兆5650万円見込んでおり、そのためには販売額1500万以上の農家が42万戸必要となるそうだ。しかし、現状は8.4万戸、あるべき姿の五分の一であり、ギャップが大きい。
さらに、“農業”の担い手の減少は著しい。ピーク時(1960年)に1454万人だった農業就業人口は、2009年には290万人に減少。しかもそのうち65歳以上の実数が178万人、率にして61%、平均年齢65.3歳と高齢化。
総農家戸数もピーク時の618万戸(1950年)から252万戸(08年)に減少し、「販売農家」は170万戸にすぎなくなった。ただ、その「販売農家」も、専業農家は2割の35万戸ほどにすぎず、8割は兼業農家で農業依存率の低い農家で占められているという。これら農家の農業依存率(総所得に占める農業所得の比率)は7~8%(30万から40万)にすぎない、いわゆる兼業サラリーマン農家である。つまり、わが国農業を担う農家の9割は、いつ撤退してもおかしくない状況にあるという(宮城大・大泉一貫氏)。
以上のデータで分かるように、日本における“農業”の衰退要因は、一言でいうと低収益性にある。それが、離農の大きな要因なのである。この辺の事情は、事業承継問題で悩んでいる中小企業の現状と同じだ。
これは逆にいえば、収益性を高め、魅力ある産業へ転換できれば、V字回復の可能性が大いにあるともいえる。すでに、そのような展開をしている“農業”経営者を見聞しているが、その数が圧倒的に少ないのである。
21世紀において、農地はわが国の大切な経営資源になると考えている。その経営資源を有効活用してくれる人材こそが、いまの“農業”に求められているのだと思う。
わが国の農政は、戦後一貫して農民保護政策をとってきた。これが“農業”の成長の足かせとなり、自立の立ち遅れとなっている。競争のない業界はレベルの低い同質競争に陥って衰退するというが、まさのその通りである。“農業”には、あらゆる事業の成長の要であるマーケティング&イノベーションという概念がないのである。
“農業”の復活には、マーケットインの視点に立った経営革新が不可欠だと考える。そのためには、自らのあるべき姿を自分の意思で描き、現状との差を埋める戦いをするべきだ。そのためのインフラづくりに我々の衆知を集めたいと想う。
(H22.9.27)