去る224日(水)、経営人間学講座入門篇(長崎地区)を市内のニュー長崎ホテルで開催した。このイベントは、平成9年からずっと続いているので、今年で第14回目の顔見世講演となる。


 今年のテーマは、「企業の成功を創発するイノベーション」である。


 講義プログラムは、「“抜本革新”を断行しない限り、企業の生き残りは不可能である」という時代的な背景や根拠を明らかにし、トップが健全な危機意識を持つことの重要性を説くことから講義は始まる。


 “抜本革新”とは、シュンペーターいうところの「イノベーション」(創造的破壊はその中心概念)と同義である。「社会的に意義のある新たな価値を創造すること、そのためには不断の新陳代謝をやり続ける必要がある」という意味合いである。


 企業における“抜本革新”の最大のテーマは、組織革新である。そして、組織革新の要というか、その当事者は一人ひとりの社員であることは疑う余地もないことである。つまり、構成メンバーである社員一人ひとりの自己革新(=価値観の転換)が決め手となる。


 しかし、この自己革新が難しいのだ。なぜなら、人間は自分の価値観の不具合に自分で気づけないのだ。では、誰が気づかせるのか?それは、トップのリーダーシップをおいて他にないと考える。


 そのためには、トップ自身が思想・価値観学習の重要性を自覚し、真摯に学ぶところから始める必要があると考える。なぜならば、企業の“抜本革新”には人間の持つ底力(深い思考力)を引き出す必要があるからだ。


 「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世、師弟は七世」(春秋左子伝)という言葉がある。縁、つまり関係性の深さをいっているのであるが、血縁以上の関係性の深さをつくるのが思想・価値観の高さである。


 中小企業において後継者が育たないのは、親子という血縁関係に依存するからである。高い価値観を共有することによって、親子を師弟の関係にまで止揚することができるならば、これほどに万全な継承は他にないだろう。


 社員との関係も然り。トップと高い価値観を共有し合っているという強い絆があればこそ、一人ひとりに変革を断行しようという主体性が生まれるのではないだろうか。そして、それを生きがいと感じることができる社員が増えれば増えるほど、“抜本革新”はその組織の風土となるであろう。


 「不断の“抜本革新”なくして、ゴーイングコンサーンなし!」である。

(H22.3.1)