前回の”考える言葉”シリーズで、「抜本革新の最大のテーマは、“組織革新”にある」と述べた。今回は、幾人かの方々からの要望があったので、“組織革新”の具体的な内容について考えてみたい。


 まず、何に視点を置いて“組織革新”の方向性を見定めるべきであろうか。一言でいうと、顧客満足を徹底して思考すべきである。


 「プロダクトアウトからマーケットインの時代へ」ということがマーケティング理論において盛んにいわれているが、日本のあらゆる市場はすでに成熟化し、モノ余りで、飽食の時代に入ってしまって久しい。


 つまり、企業の論理が市場を支配していた時代は終わり、つねに顧客の視点で市場を考えない限り、もうモノは売れないのである。モノをつくればつくるほど価格競争に陥り、同業他社との消耗戦になり、いずれ共倒れをしてしまうのである。


 そのためには、レベルの低い同質競争から脱却することだ。つまり、顧客の声を傾聴し、その困りごとを解決できるような価値をいかに創造していくのかについて、「企画・開発~製造~販売」というすべての部署が一丸となって顧客満足を追求していけるような組織に生まれ変わる必要がある。これを、経営人間学では「技術性(能率・効率)から思考性(価値・創造)へのシフトといっている。


 次に思考すべきは、顧客満足を支えるのは社員満足であるということである。その意味において、顧客満足と社員満足を切り離しては考えられない。問題は社員満足の基準を何に置くべきか、という点であろう。


 この点に関しては、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」が有効であると考える。働く社員の満足とは何か?この点に関して、ハーズバーグは明快である。


 仕事に対する満足をもたらす要因と不満足をもたらす要因は異なるとし、給与などの処遇に関する要因を衛生要因(=不満足要因)と呼び、これらの要因を改善しても不満の解消につながったとしても、そのことが満足やモチベーションを高めることにはならないとしている。一方、動機づけ要因(=満足要因)は、仕事に対する達成感ややりがいのある仕事へのチャレンジなど自己成長に対する喜びであり、主体性のある人材へと成長していく。つまり、“組織革新”とは、顧客の喜ぶ顔を自らの励みとして、苦しくても、やりがいのある仕事への挑戦に主体性を発揮できるような人材が育つ環境をつくることではなかろうか。


 顧客と社員と組織が三位一体となる。それが理想的な“組織革新”であると考える。そのためには、「統合の思想」を学ぶ必要がある。

(H22.3.8)