今の時代の恐ろしさ、それは“目的”の喪失ではないだろうか。目先の利害得失や多忙に追われ、あらゆる領域であらゆる人たちが未来に対して獏とした不安を抱えたまま仕事をし、生きている。


 組織に共有すべき“目的”がないとすれば、その組織の求心力は薄れ、いずれ崩壊の一歩を辿ることになる。組織はつねに内部に崩壊要因を秘めているというのは、その意味においてである。


 企業においては、“目的”は経営理念として掲げられ、共有すべき価値観のベースとして、日々唱和される。私たちIGグループには、創業当初に謳った次の三つの理念・“目的”が存在している。


一、業界において常に先駆的な役割を担い、品質の高い知的サービスを通じて企業の繁栄に貢献する。


二、我々相互の主体的な価値を尊重し、互いに切磋琢磨する。


三、全人類の自己実現のために衆知を集める。


 企業理念とは、「何のために(=“目的”)、何をする(=手段)」を明確に定めることであるが、次の三つの視点を考慮に入れるべきだと考えている。


 「顧客」への視点(顧客に対してどんな価値を創造し貢献しようとしているのか)


 「人材育成」への視点(どんな人材を育成しようとしているのか)


 「社会」への視点(社会にどんな影響を与えようとしているのか)


 IG理念のキーワードは、変革のリーダー的役割を担うことによって顧客へ貢献、主体的なプロ人材の育成とネットワーク化、自己実現のためのステージ創りであり、そのために「IG(=衆知)」を集めよう!という想いである。


 私たちは、多忙な日常への埋没、手段の目的化などの状態へ陥り、“目的”を見失ってしまいがちである。問題なのは、“目的”を喪失したままの行為ほど非生産的な行為はないという意識があるかどうかである。


 “目的”といえば、いつもヘーゲルの次の言葉を思い出す。


 「人間は価値ある“目的”を持ったその時から、その人の人生のあらゆる出逢いは価値あるものになっていくのである」。


 価値ある“目的”を信じて仕事し、生きている人にとって、人生のあらゆる出逢いは必然なのである。それは、“目的”に宿る力だといえよう。


 “目的”は、つねに、何を為すべきかを示唆してくれる。故に、私たちは価値ある問題へチャレンジ(=成長)し続けることができるのである。

(H22.7.5)