昨日と今日………。

10年前と今………。

6年前の、あの《最悪の場所》と、今のこの《ステージ》………。

バンド時代の俺と、今の俺………。

そんなことが、頭の中をまるで、走馬燈のように駆け巡りながら、唄ってた。

あっという間に、LIVEは終わった。
お客さんに一礼して、手を振りながら、ホールを出た。
ロビーで、遠方から来てくれた、新しいお客さんと握手をしたり、記念撮影を終えて、楽屋に戻った。

どれぐらい経ったろうか。
1人、ホールに戻ってみた。
空っぽのホール………。
1人きりのホール……。
熱いものが込み上げてきた……。
もう一度、ステージに立って、客席のほうを見てみた。
涙が、頬を伝った………。
合掌して、深い深い《感謝》を込めた………。
深く一礼して、ホールを後にした。

『始まったな……。』
また、独り言が口を突いた。


~  このハイウェイは   果てしのない
      季節を越え  さらに続く

      ただ少しだけ  臆病になる
      季節のない  季節がある
      季節のない  季節がある

      僕は  僕を  信じている……  ~

              《季節のない季節》by.  BORO


これから先も、様々なことが起こり、苦しんだり悲しんだりするのかもしれない。

今日のLIVE……。ここに辿り着くまでの、悪戦苦闘の日々……。

たかが《LIVE》。でも、今日のこのLIVEが、俺の人生の、新しい《原点》になった……。


さぁ!
もう一度、歩き出そう!
俺の《夢》も《道》も、まだまだ《これから》なんだから!

人生が《諦め》との闘いならば、とことん抗いながら、生きていこう!
ガキの頃から、いつも胸に抱えてた《このまま終わりたくない》という《抗う魂》を連れて………。


《不良少年の唄》~ 詩 (詞) ~  曲無し

ごらん俺の  この顔を
こんなにも傷だらけさ

だけど笑って  生きていける
少し寄り道をしたけれど

あの唄を唄いながら
いつも何かを探していたんだ


ごらん俺の  この拳を
多くの人を  傷つけてきた

だから自分を《変えたい》と
何度も這い上がってきた

あの唄を聴きながら
ずっと《夢》だけ諦めなかった

俺にできたことだから
きっとお前も大丈夫
きっとお前も大丈夫


ごらんお前の  あの《過去》を
すでに花が  咲き香ってるよ

だから《悲しみ》に負けないで
もう一度  歩いてみよう

あの唄を口ずさみながら
いつも《希望》を捨てないで

お前にしかできないことが
必ず見つかるから
必ず見つかるから


あの唄は《抵抗》の唄
あの唄は《応戦》の唄
あの唄は《希望》の唄
あの唄は《挑戦》の唄……



自伝小説不良少年の唄   ~ 完 ~

明日は、いよいよ《LIVE・再生》の日。
バイトから帰り、ギターを触ることもなく、眠った。


LIVE当日。

会場に着いた俺は、O , Aをしてくれるグループと、軽く打ち合わせをして、楽屋に入った。
正本さんや、丹波さんに挨拶をして、リハーサルへ。
機材のオペレーターは《テンジ氏》に御願いしていた。

『法太君、モニターはOK?』

『うん、大丈夫。バランスは、OKかな?』

『OK!OK!』

長年、一緒にやってきた呼吸だ。

『じゃあ、本番よろしくです!』

『よろしく!』

予定時間通り、O , AのグループのLIVEが始まった。他のみんなは、会場内に入ったみたいだが、俺は楽屋にいた。

スタッフの人が来て

『ビールでも持ってきましょうか?』

と言うので、断った。
1人、ギターのチューニングを合わせながら、楽屋の中。

暫くして、スタッフが来た。

『そろそろ出番です!』

『はい。ありがとう。』

ホールのドアを開け、ゆっくりと、ステージに向かって歩いた。ステージ前で、立ち止まった。何人ものお客さんが、俺の名前を呼んだが、俺は、ステージを見つめてた。

『やっと、帰ってきたなぁ……。』

独り言が、口を突いた。

『お久しぶりです。』

ギターが、静かに音を立てた。

スポットライトが眩しかった……。
バンド時代の記憶が、眩しかった…。
ここまで生きてきた、記憶が眩しかった……。



たった1つの《夢》を追いかけ、多くのものを失った。
そして、たった1つの《夢》が《希望》となって、俺は《再生》へと導かれた……。

俺は《人生という名の曲》の中で《再生劇》を、演じようとしていたのかもしれない。
そもそも、望んでいたものに《形》などは無くて、生きてきた《足跡》だけを、残そうとしてきたのかもしれない。

どんな《ろくでなし人生》であっても、諦めないかぎり、宿命と闘う心が折れないかぎり、希望を捨ててしまわないかぎり、必ず、道は開ける。

俺は自分の命さえ、何度も何度も捨てようとした。
気も狂わんばかりの苦しみの中、このまま《壊れてしまえば楽なのに……》とさえ、思った。
実際、俺は1度、完全に壊れてしまったんだから………。

《宿命への応戦》……。人生は、この繰り返しなんだろう。
それでも俺は、最後まで諦めない。
最後の最後まで………。


いよいよ、LIVEまであと数日。

今回のお客さんは《初めて》という人達も、けっこういる。
なかでも、あるインターネットサイトで知り合った方々が、わざわざ遠方から駆けつけてくれるとのことで、ありがたいかぎりだ。


バイトから帰り、ひと通り曲を弾いた。正本さんや丹波さんと、リハーサルをする時間は、もう無い。とにかく、しっかりと弾き込んでおかないと。

数時間ほど弾いて、ギターを置いた。缶ビールを2、3口ほど飲み、寝転がった。

振り返れば………。

荒れ狂った10代の頃……。
《何か》を見つけたくて、荒れ狂った日々を生きていた。
やり方が解らなかった。大人の誰もが《慣例》や《通例》や《常識》《自分達のモノサシ》の中に、俺を押し込めようとした。

違う!

俺が望んだのは、俺にしかできない《何か》を、少年の頃からずっと、教えてほしかっただけだった。今はそれを《使命》ということを、教わった。
この歳になったから、理解できるようになったのかもしれないが……。

居場所を失くし、この町に流れ着いた。
《夢》を見つけ、突っ走った。

病に倒れ、文字通り《全て》を失ったと思った日々……。

《再起》を誓い、再び歩き始めた。
紆余曲折を経て、今回のLIVE……。

何人もの《挫折をした者達》に《共に再生を!》と訴えたが……。
みんな、捨ててしまってた。俺が、それこそ《死にもの狂い》で追いかけてきた《夢》を……。
かつては、一緒に見ていた《夢》を、みんな捨ててしまってた。

俺は、捨てきれなかった。
唄うことを捨ててしまえば、俺が俺でなくなると思った。

今…………。

《再生》に向かって、その《瞬間》を待つ俺。
夢を捨てた連中が《現実を見て生きてる》と言うのなら、今の俺の、この生き方も《現実》だ。

そんなことを考えながら《その日》を待ってた。