メンバーも揃った。今度こそ、固定したメンバー。
これまでの俺のバンドは、リードギター、サイドギター、ベース、ドラム、そしてヴォーカルの【5人編成】のスタイルだったが、度重なるメンバーチェンジを体験し、俺自身が【ギターを弾く】と言う【4人編成】にした。
俺は、曲を創るために、自宅でギターを弾いてたぐらいで、人前で弾いたことは、ほとんどない。なので、先ずは練習からだった。
そして、レギュラーチューニングと、オープンチューニングの、2種類のギターを弾くようになった。
やがて、CDの発売日も決定した。
それを機に、俺達は【バリア・ブレーカーズ】と言う、個人音楽事務所を設立した。事務所の代表には、美雪になってもらった。
事務所設立直後、小さな街のイベントの仕事が入ってきた。ステージでのLIVEの他、ゲーム等も開催して、地域の人々に楽しんでもらう。
そのイベントで、CDを発売。なかなかの売れ行きだった。CDの売り上げの一部も、チャリティにした。
こうして俺達は、ある程度知られる存在になった。近隣の市や、京都市内からもオファーが来るようになった。
俺は、LIVEのギャラを少しずつ、貯めた。
ある事に遣うために。
ある日、仕事から帰ってきた俺は、美雪に向かって
『これ、つけてくれんか?』
と、手渡した。そう、指輪。高価なものは買えなかったけど。
『………。ありがとう……。』
泣いていた。そんなに嬉しかったんだろうか。
泣いていた。
『そろそろ、ツアーに出ようか?』
『うん!』
初めてのツアー。九州方面へ。初日は、長崎県へ行った。
長崎には、昔からの友人【保雄(やすお)】がいて、保雄のバンドと、対バンだった。
お客さんは、そんなに多くなかったが、俺達は全力でやった。
打ち上げで飲みながら、保雄と昔話に花が咲いた。
保雄は一時期、舞鶴に住んでいたことがある。
しかも一時期、俺のバンドでベースを弾いてくれてた。
保雄の在籍中、1300人の前で、LIVEをしたこともある。
翌日、保雄のバンドと共に北上し、俺の故郷、下関でのLIVE。
俺の、10代の頃のイメージが【強烈】だったからか、最初は、地元のバンドからは敬遠された。でも、すぐに打ち解けた。
打ち上げは、多くのバンドが参加し、どんちゃん騒ぎ。
俺は、美雪とこっそり抜け出した。
『法太君、どこに行くん?』
『市役所。』
『えっ !?』
市役所へ行き、婚姻届を出した。婚姻届はどうしても、俺の故郷で出したかった。この街での俺は、【最悪なろくでなし】だったから。
美雪と俺は、こうして【夫婦】になった。
『法太君、握手しよう!』
何故か、握手を求めてくる美雪。普通こんな時は、抱きついてくるもんだろうに……(笑)
照れくさかったんだな、お互いに。
ライブハウスに戻ると、打ち上げは俺達の【結婚パーティー】になっていた。
メンバーが、みんなに話してくれてたんだろう。嬉しかった。
打ち上げが《結婚式》で……。
ツアーが《新婚旅行》か……。
《ロックン・ローラー夫婦》らしいよな(笑)