大工の仕事を辞めた。
理由は、前回の連中に薬をやられた後、しばらく休み続けたこと、薬にボケて、大下さんから借りてたギターを、ベランダに放置したまま、部屋に帰ることもなく、悪友連中の家を転々としてたこと、そしてなによりも、自分で立てた【誓いを破ってしまった】から。
大下さんは、何度か、部屋に足を運んでくれていたらしい。申し訳ないことをしたもんだ。
ここで許してもらって、また仕事に復帰しても、所詮は【負け犬でしかない】と、妙な意地を張っていた。
今思えば、短絡的過ぎるんだけどな。
俺が、この街で生きていく以上、必ずあの薬連中とは出会い、関わることになるだろう。
いっそのこと、殺してやろうか………?
いつもの【短絡的な性格】が、顔を覗かせる。
どっちにしたって、連中との【決着】をつけないと、このままではダメになる。
数日後、連中の溜まり場に行った。もう、後先なんて考えてない。
部屋を覗くと、1人の男がいた。あの夜、同じ車に乗ってた奴だ。
『悪いけど、車を貸してくれんか?』
と、聞いてみた。奴は、自分も連れて行くならOKだと言った。そのほうが、俺にとっては好都合だ。
俺の運転で、出発。
しばらく走ると、何処へ行くのかと、しつこく聞いてきた。
『なぁ!何処へ行くねん!』
『山!』
『何処の山や!』
『せからしか!!!』
右手でハンドルを持ち、左手で思いきり、奴の顔を殴った。奴の鼻から、血が出て止まらない。
『病院に連れて行って~な!』
『せからしかっち言うとろうもんが!』
もう1発。そこから先の、記憶がない。
気がつくと、山の中。
とにかく、ひたすら殴ってた。
『もう………。勘弁して………』
我に返った時、奴は血だらけになって、詫びていた。
そこで、俺は訊ねた。
『アイツは、何処へ行った?』
『夜、商店街で会う……』
『そうか。』
俺は、奴を部屋まで送った後、車だけ拉致をして、夜まで待った。
夜の商店街。アイツは仲間数人といた。
無性に腹が立ち、車で突っ込んだ。
車は、電柱横の壁に激突した。アイツは、すごく怯えていた。
俺は、車から降りて、とにかく殴った。ひたすら殴った。
パトカーのサイレンが聞こえる。みんな、逃げようとする。どいつもこいつも、引っ捕まえて離さなかった。
全員逮捕。奴らは【薬物取締法違反】。
俺は【無免許運転】。18歳で、免許は取り消しになってるから。
今思えば、このやり方は、大いに間違っている。でも、当時の俺に、そんなことを判断できる能力などなかった。
否、あったのかもしれない。そのうえで、あんなやり方をしたのかもしれない。
元々、薬のせいじゃない【凶暴さ】はあったし、この【狂った世界】を、叩き壊すには……。
dis Satisfaction………。
ぶち壊したかった。