レンズ豆 中世ヨーロッパの代表的食物 | 古流望の創作風景

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今日はちょっとばかり備忘録ネタを。
題材は豆について。
それも、日本ではあまり知られていない、マイナーなレンズ豆についてです。
 
(参考資料 備忘録に)
 
日本豆類協会のホームページによりますと、レンズマメはマメ科ヒラマメ属の植物。一年草でして、ところどころにはレンズの形に似ているからレンズマメと呼ぶとありますが、これは間違いでして、記録に残るだけでも古代のローマやエジプトで食されていたとのこと。どちらかといえば、レンズの方が、この豆の形から名前を取ったんじゃないかなと推察してます。
まあ、詳しい語源とか調べるの面倒くさいので、知っている人が居たら教えてください。
旧約聖書にも出て来る、という話も書いてあるところが多かったですが、旧約聖書を私は手元に持っていませんし、あんな分厚いもんからレンズマメのことを探すほどの語学力もありませんので、まあ、そういう話もある、程度に。
 
鉄分とたんぱく質も含まれていますが、特筆すべきはビタミンB1を多く含むところ。これが不足しますと脚気になります。江戸患いとか言われる病気として有名なあれですよ。
ヨーロッパでは脚気になる人は日本よりも少なく、その理由はパンと豆をよく食べていたからと言われています。
 
さて、このレンズ豆。
フランク王国~神聖ローマ帝国ぐらいまでのフランス地域では、とてもよく食べられていました。エンドウ豆やそら豆なんかと同じように、レンズ豆も極々一般的な食材として、上は王侯貴族、下は庶民や奴隷(小作人とかも含む)まで食すものでした。
地域によってはどれだけの資産を持っているかをレンズ豆(を含む穀物)の量で示した資料もあり、遺産相続にもレンズ豆がちゃんと資産としてカウントされていた。
 
イタリアではレンズ豆祭りなんてのもあるぐらいでして、シチリアの昔話で半人半魚のコーラがひとつかみのレンズ豆を欲したなんて民話も残っている。
 
食べ方としては、主に煮豆として食べるか、粥やパンに入れて食べる方法が主流だった。
とか。スープの具材としては、メインとして入れられるほど。
 
何故この豆がそれほど中世のヨーロッパで食されていた方と言いますと、育てやすくて収量が多かったから。
麦に比べると四倍ぐらいは収量がありまして、ジャガイモがヨーロッパに普及するまでは、豆こそ庶民の味方であった。
 
まあ、私も人のこととやかく言うほどまともに考証して書いてはいませんが、中世欧州をモデルにしたファンタジーで、豆料理が一切出てこないのはおかしいわけですよ。
白パンよりも豆の方が良く食べられてましたから。
しかし、実際に小説内でネタとしてレンズマメなんて出しても、読者の大半は”何それ”ってなことになる。
 
ファンタジー具合と厳密な時代考証の折り合いをどうつけるかってのは、作家の頭が痛くなるところではありますよ。