「草摩シンジねぇ…」
ここはとあるビルの地下に入っている.小さな
占いの館…。
この占いの館の
占い師でありここの
主人の千里はある書類を
眺めながらポツリっと
呟く。
「彼についての情報が
欲しいんだ.お金なら
いくらでもある」
そう言って夏季は
お金が入った袋をポンっとテーブルの上に置く。
「ロラン君の頼みね」
千里はクスリっと
笑いながら.書類を
テーブルに置き
その場を立ち上がり
別の部屋から何かを
持ってきた。
「はい.これ」
千里は大きめで平べったい白と黒のビーズが
並べられた.ブレスレットを
夏季に渡した。
「…相変わらず
変わった物にデータを
入れているな」
夏季はそう言いながら
千里からもらった
ビーズのブレスレットを
手首につける。
「誰もアクセサリーに
大切なデータが
入ってるとは思ってないわあ.言っておくけど
これは私が先に
考えた事だから
真似しないでちょうだいね」
「誰が真似するか」
夏季はケラケラっと
笑っている千里を
呆れた目で見ている。
「しかし.一体
このブレスレットには
なんのデータが
入っているんだ?」
「色々よん.彼の学歴や
彼の家系やもちろん
入院している妹の病院の
データも」
「そこまで調べたのか…?」
「まぁね.これも仕事だし」
千里は勝ち誇った顔で
夏季の問いに答えた。
「……やっぱり俺が
この件に関して来るって
わかって調べたのか?」
「当たり.ロラン君に
とってもこのゲームで
大きく何か変わったけど
夏季もこのゲームのせいで大切な人を失ったから
きっと.調べるだろうと
思ってたからね」
どうやら.夏季も
このゲームと
何か関わりがあるらしい。
「さすが.美人占い師だな」
「これは表の顔だけどね」
「まぁ.お前は色々と
偽っているよな」
「ッフフ.だってこっちの方が商売的にいいのよ」
「そっか.じゃあ
俺は行くな」
「はぁい」
夏季が部屋を出ようとしたら
赤髪の少女が部屋に
入ってきた。
「千里.お客だ」
「あらぁ.いらっしゃい
さっさ.この椅子に座って」
「あ.はい…」
赤髪の少女は千里に
言われた椅子に座る。
「じゃあ.俺行くからな」
「うん.たまには
仕事以外で遊びに来なさいよ」
「了解」
夏季は手をヒラリっと振り部屋を出っていった。
「さてさて.貴方の名前は?」
「あ.えっと.あたしは
木ノ宮姫乃です」
「そう.姫乃ちゃんね
可愛らしい名前ね」
彼女は緊張している
姫乃を見つめ一人
微笑んだ。
その頃.別の場所では…。
「そういえば…マーフェイと
新条真子の方へ行かせていた
猫が帰ってきませんね…」
シオン自分の周りに
集まる猫を見ながら
ポツリっと独り言を呟いてる。
「その猫さんって
この子の事かな?」
「っ…っ!?」
シオンの前に黒髪の
少女が現れた。
彼女の腕の中には
一匹の猫がスヤスヤっと
寝息をたてて寝ている。
「大丈夫だよ.この猫さんはただ.寝ているだけだから…」
「あ.あなたは新条真子…」
なんと.シオンの前に
現れたのは新条真子だった…。
「あなただよね?
この猫さんを使って
私とマーフェイを
監視していたのは」
「え.えぇ…」
シオンはいきなり
現れた彼女に緊迫の
表情で見つめている。
「一体.なんの為に
私達プレイヤーを
監視してるのかな?
シオン・クレセントハートさん」
「な.何故!?私の名前を…
」
「ヒ・ミ・ツ」
真子はシオンの問いに
怪しい笑みを浮かべてる。
「あなたは…一体
このゲームで何を
得ようとしてるんですか…?」
「もちろん.自分の願いの為だよ」
「ですが…それが
どんな奇跡でも
何かが歪むんです
もう.いい加減やめませんか?」
「シオンさん.あなたは
何もわかってないね」
「だから…」
「私の願いは
【大切な恋人を生き返らさせる】
じゃないよ」
「な.なんですと!?」
真子の衝撃の一言に
シオンは驚きを
隠せないでいる。
「そんな簡単に自分の
願いなんて言わないよ
まして.ロラン・ジルハの
知り合いになんて…」
最後の言葉に真子は
憎しみをこめて.呟く
シオン自身は何故?
真子がそこまで彼に
憎しみの念を抱いているかは
知らなかった…。
「まぁ.今日はこの
猫さんを返しに来ただけだから」
そう言って彼女は
抱いていた猫を
ゆっくり地面に置くと
スッと去っていた…。
ある言葉を残して
「でも.もし.次
私とマーフェイの
邪魔したら許さないから…」
一人残されたシオンは
「まさか.こっちから
来るとは思いませんでしたね…」
地面に寝ている猫を
抱き抱えポツリっと呟く。