昨日で、3週間連続のツアーが終わった。
評判のシティホテルの高層階に、大阪のビル群のパノラミックな全景を一望できる二面全体が窓ガラスになった角部屋を取り、Rとロマンチックな一夜を過ごした。
このホテルの部屋、バスルームも、ベッドルームも、壁全面が窓なので、カーテンを閉めないと羞恥心の高まりを抑えきれない。
高層階とはいえ、周囲に肩を並べる他のビルからも見えてしまうんじゃないかと考えてしまうからだ。
日が暮れていくにつれ、灯がともり始める周囲のビル群がなんともセクシーだった。ゆっくりと降りてくる夜の帳。好対照に空に瞬き始める星や月。それらエロスを掻き立てるような艶やかな光景が、一点の遮りもない窓の外に展開し始める。
これから一夜を共に過ごす女性と、この夜に溶け込んでいく期待感。しかし、同時に、これから始まるめくるめく悦楽を想像し、喉の奥が締め付けられるような興奮の兆候に、刹那の不安感が浮かんでは消えていくけど、それは決して不快な感じではない。
このままだと丸見えだし、夜は室内の灯りでかえって見えやすくなるかもしれないから、やっぱりカーテンを閉めようか?
2人で迷ったりもしたけど、結局、僕達はカーテンを開けっ放しにしておくことにした。
美味な料理の数々とセクシーな味わいのアルコールをたっぷり入れ、ホテルの部屋に戻り、窓の外に広がる極上の宝石の煌めきのような夜景に包まれながら、僕達は一緒にシャワーを浴び、バスタブに浸かった。
酔いが回りすっかりガードが下がった自意識にとって、昼間の羞恥心は、むしろ欲情の昂まりを後押しする起爆材に変容していく。
僕達は、止めどなく沸き起こる欲情の赴くまま、その夜、どこまでも強く激しくお互いを求め合い、愛し合い、そして、溶け合った。
そうして激しく果てた後は、ここ数週間味わったことのない最高の睡眠に落ちていった。
ツアー中に蓄積した睡眠不足をすべて補ってしまうくらい、それは深く長く、そして、安心感に包まれた心地よい睡眠だった。
このような睡眠から目覚めた朝に感じる万能感を得ることこそ、ひょっとすると人生の最大の目的なのかもしれないと思うほどだった。
また、明日から3週間のツアーに出る。
旅の途中、果たして、このような朝の目覚めを、僕は何度迎えることができるのだろうか?
横でまだ眠っている愛しい人のはだけた背中とうなじを見て、前夜の興奮と陶酔の追憶が沸き起こり、狂おしい疼きが体の内奥から横溢し、エロスの血潮が肉体の一部に凝縮されていくのを感じながら。