★租税法論証2★総論部分① | 「偏見から変見へ」。交通事故専門弁護士のマル秘雑記帳☆★

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元「新司法試験不合格」ブログ。

車マニアの交通事故専門弁護士としての日常。

その他
●ベンチャー支援(契約書、労務管理、債権回収)
●宗教法人支援(墓地埋葬、納骨堂、相続)
●母子家庭の福祉支援、高齢者福祉支援なども
●「見方を変えれば偏見は起きない」

総論になります。

総論については、試験委員が執筆している税法基本講義を通読して、わからない箇所をまとめていくスタイルにしました。相対的に重要度は下がると思うけど、更正請求とか怪しいと思いました(教授もあやしいっていってたw)

税法基本講義/谷口 勢津夫
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★租税平等主義

担税力原則。各人の担税力に応じて租税負担を配分することが公平で正義にかなう。






★合法性原則

 成立した課税債権は、裁量を挟むことなく執行しなくてはならない。

 ∵納税義務は、課税要件の充足によって法律上当然に成立する。課税の場面における法律の留保。

↓このことから

納税義務の内容・範囲や聴衆の時期・方法等について和解することは許されない。


個人単位主義

↓例外

56条。

 ∵個人事業主の家族間での所得分割を防止するため、個人単位主義に消費単位主義的修正を加えたもの。






★課税要件事実認定の基準

私法上の行為に基づいて判断する。(私的自治の尊重)

経済的実質は、NG。

 ∵確かに経済的のほうが担税力に応じた公平負担の建前には適合的。しかし、実質判断にあたって、裁量が入り込み、租税法律主義が潜脱。むしろ租税負担が不公平、予測可能性、法的安定性を没却。






★法律行為が無効なとき

経済的効果が生じている限り、課税要件は充足される。

そして、行為の無効・取消に基因して失われた場合に、課税関係を調整する。

→調整のために

①現年度修正(所得51Ⅱ、令141③(無効のとき)。法人22Ⅲ③Ⅳ)

②過年度修正・遡及修正(所得152、令274、税通則71Ⅰ②)


仮装法律行為(民法94)は、課税要件事実の認定において無視。

∵行為が無効だからではなく、仮装事実こういであって、事実認定の基準とされるべき実体や実質をもたない行為であるから。

↓これは

背後に隠ぺいされている事実の法律関係が認定できるときは、それに基づく課税が行われることとなるが、これは法的実質主義から当然。








★課税不遡及の原則

納税者の予測可能性・法的安定性のためには、法律によって遡及的に課税を行うことは好ましくない。

↓もっとも

法律という民主的正統性に基づいて制定された以上、法律によらない課税とは異なり、絶対的に禁止されるものではない。

↓そこで(両者の調和の観点から)

①遡及の程度(法的安定性侵害の程度)

②遡及課税の必要性

③予測可能性の有無・程度(法改正情報の開示の有無・時期・態様)

④実体的不利益の程度

⑤代替的措置の有無・内容

↓①の要件で

所得税のような期間税の場合、年度内遡及も租税法律不遡及の原則により禁止される遡及課税にあたるか


取引時点を基準として、遡及課税該当性を判断

∵納税者は、取引を行った時点における法律を前提として取引等に基因する納税義務が成立すると信頼するのが通常である。そして、その信頼を保護することが予測可能性や法的安定性に資することになる。(取引基準説)


あたる。

もっとも、取引と同時に租税債務が確定する消費税とは異なる。


※この規範は、近年の判例とそれの判例解説でした。推計課税が試験に問われていたので要チェックしただけです。





◆租税回避◆

・租税の私人誘導機能




租税回避目的の有無が問題とされているが,租税回避行為は,課税要件の充足そのものを回避する行為であり,否認できる明文の規定(法律の根拠)がない場合には,租税法律主義の原則から,その効果を否定できない(租税回避行為の否認は認められない)と解する(金子宏『租税法〔第12 版〕』110 頁)のが一般的な考え方


経済的実質に対応して課税することはだめ、あくまで私法上の実質的法形式に従う。もっともその結果租税回避が生じた。この場合、課税要件の法文の解釈の問題。これは厳格に考えねばならん、




●租税回避には事実行為をも含む(住所の移転等)。




●租税回避の否認規定

包括的否認規定よりは個別的否認規定が好ましい。

⇒包括的だと、予測可能性・法的安定性に欠ける

・包括的否認規定の例(同族会社の行為計算否認)

同族会社では、所有と経営とが未分離・一体であって、株主間の利害対立による牽制作用の弱さ上に、経済的合理性のない「お手盛り」経理が行われやすい。


行為計算否認について、独立当事者間の正常取引と異なる取引がされた場合もその射程に含まれる見解も有力




●租税回避事案では、仮装行為の場合と異なり、租税回避目的に相応する真実の法律関係が形成される以上、租税回避目的をその目的で形成された法律関係が仮装であることの間接事実とすることはできない。