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【登場人物】
 
A社 .. O社の持ち株会社
 朝倉さん  A社社長。実質的な黒幕
 
O社 .. 元同じ会社の村松君が興した会社
 村松君   O社社長。僕より先に辞めて会社を興した。
 大浜さん  取締役専務・経理担当
 金田君   会社を辞めた後、村松君の会社に入社。
 菊間さん  事務一般
 小泉さん  デザイナー
 桜井さん  デザイナー
 
 
※2010年~2012年の出来事です。
※登場人物の名前、会社名などは全て仮名です。実際の名前とは異なります。
 
 
小心者の僕は、蛇に睨まれた蛙状態。
蚤の心臓は今にも潰れそう..
 
僕:
 あ、履歴書と職務経歴書です。
 
朝倉:
 あー、こんなん要らんのにぃ。
 村松君と金田君から全部聞いていて、彼らの太鼓判があるので、
 もう面接なんかなしに採用ですわ。
 
“わははははは”と豪快に笑う。
 
朝倉:
 早速明日から来てもらうとして、ちょっとお願いがあるんですよ。
 
きた!
 
ツボかな?掛け軸かな?健康食品の類かも?
表面上は冷静を装いつつ、全力で身構える。
 
朝倉:
 聞いとる思うけど、まだ会社興して間がないんですわ。
 まだ会社の内情はドタバタしてましてね、正社員にするのは、
 3か月先でも構いませんかね?
 
え?
 
何も買わなくて良いの?
 
内心、ホッと胸をなでおろす。
 
僕:
 その前に、まだ条件もご提示いただけてませんし、
 会社の事もよく分かっていません。
 ご説明いただいてもよろしいでしょうか?
 
再び“わははははは”と、豪快に笑う朝倉さん。
 
朝倉:
 ああ、そうでしたそうでした!
 さすが うずらさんですね。聞いた通りの方で、安心しました。
 
会社を興すに至った所から、話が始まった。
 
朝倉さんと村松君は、起業セミナーで知り合った。
朝倉さんが村松君に声を掛け、二人で話して意気投合。
 
目指す方向は一致しているものの、お互い無い物がある。
 
・村松君は、IT系の会社を起業したいが、開業資金がない。
・朝倉さんは、資金はあるが、ITに関する知識がない。
 
ふたりの利害関係が一致した。
 
朝倉さんがA社を起業して、資金を調達。
村松君に資金を提供して、O社を起業。
A社はO社の持ち株会社として、資金の管理をしているとの事。
 
なにやら きな臭い..
 
朝倉:
 ワシの会社は、資金の管理のみで、O社の運営には口を出さんのですよ。
 O社の事は、全部村松君に任せてあるので、村松君の良いように
 やってもらってます。
 でも、彼はまだ若いでしょ?お客さんの所に行くとナメられるので、
 ワシが会長職に就いて、お客さんと会う時だけ、一緒に動きよるんですわ。
 
胡散臭い..
 
村松君に一任しているのに、人事権は村松君には無いのだろうか。
 
朝倉:
 業務の説明は、村松君から頼むわ。
 
村松:
 はい
 
ざっくりと業務の説明を聞く。
 
業務内容は、もっぱらホームページの運用管理。

作成やリニューアルも行う。

閉店などで不要になったサイトを買い取り、リニューアルして販売..
 
など、単純にWeb系の仕事。
 
村松:
 俺ら、開発が分からないので手が出せないんですけど、
 うずらさんが来てくれたら、リニューアルや改造だけじゃなくて、
 新規構築や、ECサイトの構築や改造なんかもできるようになるよね..
 って話してたんですよ。
 ※ECサイト .. ネットショッピングのサイト
 
僕:
 知っとる思うけど、僕は畑違いなので、こっちの業界には疎いよ?
 言語はある程度分かるけど、趣味レベルやし..
 
会話に、朝倉さんが割って入る。
 
朝倉:
 いやいやいやいや、そんなん、ええんですよ!
 ワシら全員素人なんで、それと比べたら、月とスッポンですよ。
 ぜひ、ウチの力になって下さい。
 
 給料はいくらくらい欲しいですか?
 滅茶苦茶な額は勘弁して欲しいんですけど、言い値で良いですよ!
 
僕:
 3か月後に正社員ですか?
 
朝倉:
 はい。それはお約束します!
 
僕:
 では...
 
請負期間中の3か月の金額と、正規雇用後の希望金額を言ってみる。
 
朝倉:
 え?それで良いんですか?
 
僕:
 はい。
 
朝倉:
 もっと言われるかと思って、ビビッてたんでけど、安心しました!
 そしたら早速、皆に紹介しますわ!
 
え?
 
明日から働くのに、今日もう紹介?
 
 
壁1枚挟んで、こっちがA社、あっちがO社。
O社に移動して、簡単に自己紹介。
 
幾つか書類を記載して、この日はO社を後にした。
 
 
勢いで仕事する事になったな..
 
3か月ほどはフリーランス状態だけど、仕事が無いよりマシか。
 
それにしても、また怪しい所に来ちゃったなぁ。
胡散臭い所が色々あるから、働きつつ、早めに次を探そう。
 
先行きに一抹の不安を覚えつつ、自宅に帰った。
 
 
続く
 
 
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