愉快な社長シリーズ一覧はこちら → 愉快な社長
今回のシリーズ一覧はこちら → 沈みゆく船
 
前回の記事はこちら → 沈みゆく船<7> ~沈む船~
 
 
【登場人物】
 土井さん  社長
 三島さん  専務
 宮川君   営業マンからの転職
 畑野君   弱電技術者からの転職
 小林君   自宅の商店のお手伝いからの転職
 藤原君   引きこもりからの脱出
 
会社弁護士
 松野さん  会社の顧問弁護士
 
M社 .. N社案件の窓口になってくれている会社。
 宇和さん  M社部長
 
O社 .. 元同じ会社の村松君が興した会社
 村松君   O社社長。僕より先に辞めて会社を興した。
 金田君   会社を辞めた後、村松君の会社に入社。
 
 
※2009年~2010年の出来事です。
※登場人物の名前、会社名などは全て仮名です。実際の名前とは異なります。
 
 
村松君の会社に勤めるようになり数か月後、
社長から村松君に、何度か電話が掛かってきた。
 
電話の内容は
 
・何か仕事は無いか?
・わしを雇ってくれないか?
・わしと一緒に会社をやろう!
 
と言ったような内容が多く、最後の方は、
 
・今は代行運転のドライバーをして、再起を狙っている。
 何か仕事があれば、いつでも言ってくれ。
 
と言っていたらしい。
 
村松君は、毎回やんわり断っていたが、電話を切った後は、
いつも結構ぼろぼろに、社長の悪口を言って、笑っていた。
 
 村松君。現状を考えてみ?
 君もあまり、あの社長の事は笑えないよ?
 
と思いつつ、楽しそうに社長批判しているのを聞いていた。
 
 
社長..
 
会社は潰さず、金融機関と折り合いをつけ、細々と返済している感じかな。
会社を潰しても、個人名義で融資を受けた支払いは、残るはずだし..
 
ま、身から出た錆、自業自得。
頑張ってください。
 
 
さらに数年の月日が流れ..
 
この頃僕は、M社に転職し、構内請負案件で、今の職場に常駐で働いていた。
 
あの会社の出来事は、遠い過去の出来事になり、
思い出す事も無くなっていた頃、思いもよらない形で、
社長の様子を知る事になる。
 
 
自宅で、ネットで調べ物をしていた時の事。
 
どこかのホームページに載せられていた、迷子犬のバナーが気になり、
興味本位で、地元の迷子犬の情報ページに飛んだ。
 
そこには、迷子の犬を保護したとの記事が、数多く掲載されている。
つらつらと眺めていると、ある1件の記事に目に留まった。
 
どこかで見たような文体..
 
なんとなく読み進めると、記事の最後に書かれてある、連絡先を見て驚いた。
 
あの社長の、名前と携帯番号..
 
ネット上とは言え、偶然の再開。
 
 あの人は、今、どうしているんだろう..
 
その後の様子が少し気になり、色々と調べている内に、
とあるSNSに辿り付いた。
 
迷子犬の保護から、数か月後の投稿。
そこには..
 
 私は、株式会社〇〇を潰しました。
 多額の負債を抱え、会社を潰し、私は自己破産しました。
 
と言った内容が、赤裸々に書かれてあった。
奥さんとは離婚して、単身で市営住宅に住んでいる事もわかった。
 
そうか..
 
結局会社は閉めたのか。
 
三島さんと終わった事で、会社ごっこも終わりにしたのか、
離婚した事で、全て清算しようと思ったのか..
 
何はともあれ、船は沈んだ。
 
夜逃げする事なく、最後は自分で幕を引いたのは、
あの社長にしては上出来だと思う。
 
 
SNSは、誰とも知れない、自称経営者に絡んでいる投稿を最後に
更新が止まっていて、その後の様子は分からない。
 
でも..
 
僕の人生の数年間、あの会社にはお世話になり、
良くも悪くも、貴重な経験を色々とさせてもらった。
あの頃があるので、今があると思っています。
 
社長も、何かの仕事をして、平穏な人生を送っていると良いなと思う。
 
 
 
沈みゆく船・完
 
 
~~~~
 
ながながとお付き合い頂き、ありがとうございました。
 
未払金を請求して、払ってもらったのは、結局僕一人でした。
社長は今でも
 
 「うずらが会社を潰した」
 「あいつさえいなければ」
 
と思っているかも知れませんが、僕は今でも、
悪い事をしたとは、全く思っていません。
 
あの状態を作り上げたのは、誰でもない社長本人。
仕事を拒み、いたずらに人を増やして、自分で窮地に追い込んだ。
 
当時、もし僕が独身実家暮らしで、少々生活に困らない状況だったなら、
もしかしたら未払金も諦めていたかも知れませんが、
生活掛かってますからね。
 
守るべきは、会社より家庭。
 
 
色々思う所も多かった日々でしたが、今となっては感謝ですね。
会話ネタにもなりますし、こうして、ブログネタにもできましたし(笑)
 
信用して頂けない事もあるのですが、まぁそれは、受け手の方々の
自由ですので、僕がどうこう言う話ではありませんしね(笑)
 
まぁ..面白い経験でした(笑)
 
 
次回ですが..
 
少しお休みを頂くかも知れませんが、村松君の会社編を書こうかと思います。
今の会社ほど、面白い話は無いし、唐突に終わりを迎えるので、
スッキリした結末にはなりません。
 
最初から最後まで
 
 え?
 
って感じの会社?人達?でした。
 
ちなみに僕は、最後には、また極悪非道になっていて、
 
 闇夜は気を付けろよ
 
とか
 
 安心して夜道歩けんようにしてやる
 
とか、どこかで言われたような事を、また言われてしまいます。
 
僕は極ごく普通の、気の弱い小心者の一般人で、世間の隅っこで
日々を真面目に慎ましく、ひっそりと生きているだけなのに、
どうしてこんな事言われるんでしょうね?(笑)
 
もしよろしれけば、またお付き合い頂けましたら、幸いです。
 
 
 
アメブロおまかせ広告