そんな時、急に雨が降そうな天気になる。
蔵丸「比企様は中に入っててください」
影助「宇佐美さんも」
宇佐美「あ、あぁ…」
そうして、影助と蔵丸と泰衡だけになった。
雷が鳴り響く。
蔵丸「嫌な天気だな。昼間だというのにこんな暗いなんて」
不穏な空気になり、草むらが動き出す。
蔵丸「なにか居る気配がする」
影助「そうですか?」
蔵丸に姿が見えないさとり、テンテンコロリン、山地血が蔵丸を懲らしめ始める。
見えない敵に刀を振り続ける蔵丸。
さとりに雷を落とされ、それを避けた瞬間、山地血に血を吸われ動けなくなり、倒れる蔵丸。
蔵丸の叫び声に驚いて比企と宇佐美が出てくる。
卑しい悪い気の中にいると醜い姿となって他の人にも見えるようになる妖怪たち。
蔵丸も動けるようになり、比企の手下たちも集まって戦い始める。
テンテンコロリン「どこまで、いい?」
山地血「殺し、だめ」
追いかけてきた海尊が泰衡の縄をほどこうとしたときに比企の部下に足を斬られ、動けなくなってしまう。
そいつに飛びかかるさとり。
さとりとそいつが戦っている隙に、比企が泰衡の首に刀を向ける。
比企「動くな。コイツがどうなってもいいのか?」
ちらっと泰衡と比企の方を向くが、また戦い始めるさとり。
比企「まてまてまて!!え!?コイツどうなってもいいの!?ほら」
またちらっと見てから、戦い始めるさとり。
比企「え!?どうなってもいいの!?」
泰衡「さとり、広い視野をもって(笑)」
ようやく気が付いて、戦いをやめるさとり。
他の奴らと戦っていたテンテンコロリンと山地血も戻ってくる。
比企「そこに1列になって寝ろ」
テンテンコロリン「昨日、12時間、寝たから…」
比企「その寝ろじゃないって!」
泰衡「本当に寝なくていいから、地面に横になれってことだと思うよ」
地面に寝転がり、枕元に比企の部下が並び、妖怪たちの胸に刀を下ろす。
胸に刀が貫通し、動かなくなる妖怪たち。
泰衡「そ、そんな…」
しかし、むくりと起きあがって、また比企たちに刀を向け始める妖怪たち。
痛みは感じるけど、妖怪たちは死ぬことはない。
蔵丸は妖怪たちの姿を見て失禁して倒れ、比企は血を吸われ動けなくなって倒れてしまう。
比企が妖怪たちにやられるのを手出しせず、ただ見るだけの宇佐美。
倒れている蔵丸をつつきまくる妖怪たち、そして、比企の顔面を踏みつける宇佐美。
泰衡「やりすぎ、やりすぎ!って、顔面踏まないの!なんか個人的な恨みでもあんのかな?って、あんま両方いっぺんにやんないで(笑)」
比企の部下を集めて、比企や蔵丸を連れて去っていくように諭す泰衡。
宇佐美も妖怪たちを観ることができる優しい心を持つ人間だと聞く泰衡。
泰衡を探す声が聞こえ、宇佐美が呼んでくると走っていき、テンテンコロリンはみんなの刀を置きに行った。
妖怪たちは悪い、いやしい気が無くなって、またいつものような姿に戻った。
そこに源太、伊佐四古、じい、宇佐美がやってきて、無事な泰衡に駆け寄る源太、伊佐四古、じい。
源太「戦いや黄金よりも大切なものがあるってことに気づいたんだ」
泰衡「今頃気づいたの?(笑)」
元の姿に戻り、心やさしい人にしか見えないはずの妖怪の姿を観えるようになった源太、伊佐四古、じい。
みんなからいやしい気持ちが無くなったらしい。
初めて見る妖怪たちを恐れていたが、源太は山地血と、伊佐四古はテンテンコロリンと、握手をしたことで友好的になる。
泰衡「じいはあいつ(さとり)と」
じい「…え…」←
さとり「お前、俺の、尻の穴、なめろ。お前、なめたら、俺、鎌でお前殴る。そしたら、俺、お前、仲良くなる。妖怪たちの、仲良くなる、方法」
じい「…」(黙りこくじい)
泰衡「そんなんしなくていいから。嘘だから。そんな方法ないでしょ。」(←冷静)
その様子をじっと見ていた宇佐美。
泰衡「あ、宇佐美さんもどうぞ、握手してくださいよ」
宇佐美「あ、あぁ…」
伊佐四古「こいつら(妖怪)も郷に戻るのですか?」
泰衡「戻るっていうか、元から一緒に暮らしてたんだよ?みんなが見えなかっただけで」
伊佐四古「…こいつらと一緒に…わしがこの村を出てく!!」(笑)
泰衡「出てか無くていいから。あ、宇佐美さんもよかったら泊まってってください。伊佐四古がおもてなししますから」
伊佐四古「えへへ」
みんなで郷に戻ろうとしたとき、違う方向へ歩き出す妖怪たち。
黄金のありかを知っているのは自分たち妖怪3人だけ。
自分たちが山に帰ってみんなの前から消えれば、黄金の存在を知っているものはいなくなる。
そうすればみんな黄金をめぐって争わなくなるから。
さみしいけど、3人でいればそんなさみしくないから。と泣きだすテンテンコロリンと山地血。
泣く2人を見て、空気を呼んで眼球をいじって泣こうとするさとり(笑)
去っていこうとする妖怪たちの方を観ていたとき、背後から影助を刀で刺す宇佐美。
宇佐美「このまま帰ってもらったら、こっちに寝返った意味がなくなんだよ」
影助「宇佐美さん…」
伊佐四古が宇佐美に斬りかかるが、避けられて、逆にやられてしまう。
実は、宇佐美には妖怪たちの姿は見えていなかった。
宇佐美「でも、お前は何か見えているみたいだったからな」
(暗転)~回想~
比企・蔵丸・宇佐美に裏切られて、斬られ、万事休すの時に影助の目の前に妖怪たちが現れたところに戻る。
妖怪たちを見て、驚く影助。
影助「な、なんなんだお前ら!?」
その様子に気づく宇佐美。
宇佐美「…え…?」
妖怪たちは影助に自分たちの姿が見えていることに気づく。
そして、影助はいい人間だと気づく。
そして、影助を助けるために比企たちの近くに雷を落とし、影助が逃げられうように手助けをしていたのだった。
現在に戻る。
また、悪い気を吸って、醜い姿になる妖怪たち。
宇佐美「ようやく見えるようになったよ。さっきは俺しか見えない奴や居なくてあせったけど。おい、黄金の所まで俺を連れて行け」
テンテンコロリン「オレ、こいつ、連れていきたくない…」
宇佐美「こいつがどうなってもいいのか」
横たわっている影助を更に斬りつける宇佐美。
テンテンコロリン「やめろ!」
影助をかばいにいくテンテンコロリン。
しかし、頭から塩をかけられる。
テンテンコロリン「うわぁぁぁっぁぁぁ!!!!」
宇佐美「塩に弱いってこともこいつから聞いてんだよ。でも、完全に溶かしはしないよ。だって全部とかしたら黄金のありかがわかんなくなっちゃうでしょ?」
戦いたくないけど、と、とびかかる山地血にも塩を投げつける。
宇佐美「こっちには塩があんだよ。頭悪いって言われないか?」
さとり「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
鎌を持って振り回しはじめるさとり。
泰衡「さとりはまわりの悪い気を吸収するんじゃ…?」
悪い気を吸って、暴走し始めるさとり。
そのさとりにも塩をかける宇佐美。
塩をかけられて倒れる妖怪たち。
泰衡「…宇佐美、てめぇ…!!!」
殺生を心底嫌っていた泰衡が初めて剣を持って斬りかかろうと振り被る。
それを身体を呈してとめるさとり。
泰衡「…離せ…」
さとり「泰衡、明るい道、進んでほしい。俺たち、妖怪、死なない。だから、神様、居ない。でも、泰衡、キラキラ。泰衡、俺たちの、神様。変わってほしくない。」
それでも宇佐美に立ち向かおうとする泰衡。
さとりといっしょになって身体を張って止めるテンテンコロリン、山地血。
泰衡の血を吸い、動けなくなって倒れる泰衡。
影助は隙を観て宇佐美の足を攻撃し、宇佐美が影助に集中している隙に宇佐美の刀を奪う源太。
妖怪たちは人を殺すことができないから、自分たちと一緒に宇佐美をあっちの世界に連れていくと言う。
泰衡「テンテンコロリン…山地血…さとり…」
影助「俺も…一緒に行っていいか?」
さとり「自分で、決めろ」
影助は自分はたくさんの人を殺した。その事実は消えない。
戦うこと、斬ることしか知らなかったが、泰衡と出会い、こういう方法で何かを守ることができるということを知れた、と言う。
宇佐美「俺は…いきたくない…」