≪OP≫
暗闇の中、後ろからの青いピンスポだけで照らされる弁慶。
『これは一人の荒くれ者のお話』
逆光で顔が見えないが、弁慶の前に一人の男が立ちはだかる。
≪現代≫
ヤンキーの特攻服を着た宮本と千葉、そして学ランの佐々木。バイクが2台。そして何名かのヤンキー。
宮本「なんで修学旅行に来てまで地元のヤンキーに絡まれなきゃいけねぇんだよ」
佐々木「そんな恰好してるからだよ!!」
ひとりひとりヤンキーにかみつきます。
宮本「飛龍館高校剣道部、主将!宮本武!!!・・・・・・・・ってお前も言えよ!!俺だけ言ったら変な感じになんだろ!!」
佐々木「…え・・・あ、同じく飛龍館高校、剣道部、副将ぉ、佐々木太郎ぉ!」
(宮本にむりやり言わされる佐々木)
千葉「同じく飛龍館高校剣道部、ただの部員!!!千葉晋作!!」
ヤンキーとの取っ組み合いが始まるが、まったく相手にされない千葉(笑)
2人がボコボコにしたのを片っ端から殴っていき、最後の1人を気功で退治する千葉。
宮本「それにしても人の思い出っつーもんは儚いよなぁ。剣道で優勝した時は最初はチヤホヤされたけど、今は厄介者扱いだよ」
と言いながら煙草をくわえる。
「なにしてんだよ!!」と佐々木が宮本の煙草をとりあげる。
佐々木「ったく、煙草なんて…なぁ?って千葉君、シンナー吸うなよ!!」
ビニール袋に顔全部をつっこむ千葉。
千葉「毛穴全部で吸ってるから」
佐々木「毛穴全部で吸ったらすごいことになるぞ(笑)」
じつはシンナーじゃなくて中身はものすっごい臭い小手。
(本人曰く、「半年じっくりことこと煮込んだコテー」)
そして、初老の匂いがする臭い手ぬぐい。
(本人曰く、「どストライク」)
佐々木「あ、匂いといったら、すごいイイ匂いしなかった?」
宮本「した!」
佐々木「焼き肉だって。行こうよ。割引券もらってきたからさ」
と、チラシを取り出す。
店の名前『成吉思汗』
千葉「俺、パス。あの匂い苦手なんだよねー」
佐々木「…もう、その鼻とっちゃえよ」
千葉「取ったら豚みたいになっちまうだろぉがっ」
『成吉思汗』??
「成吉さんが思って流した汗」??
宮本「てかさ、なんでお前だけ着てねぇんだよ」
一人だけ特攻服を着てないことを責める。
佐々木「だって、いまどき『天下無敵』なんて…」
千葉「なんだよ!せっかく宮本が縫ってくれたのに」
佐々木「え!?宮本の手縫いなの!?これ!」
近藤先生が登場。
近藤「なんだお前らその格好は!」
宮本「いや、モテようとして」
佐々木「結果、地元のヤンキーにモテたんですけどね(笑)」
近藤に対して「お前、思ってた以上に気持わりぃなー」「気持わりぃー」と暴言を次々に吐いていく千葉w
ただ、この悪態をつくのが自然すぎて可愛かった。
近藤「だめだ」「おまえはだめだ」w
さっきのチラシを渡して漢字の読み方を聞く。
近藤「なんだ、こんなんも読めないのか。これは『ジンギスカン』と読むんだ」
千葉「俺読めてたしぃー」
また喧嘩をしたのかとあきれる近藤。
「ちょっとだけだよ」と宮本。
ここは壇ノ浦の戦いがあったところで自分の先祖も戦ったらしい。
近藤「って、自己破産した伯父さんから聞いた」
千葉「多分嘘だよ!自己、破産してんだろ?バラッバラじゃねーかっ」
家訓を教える近藤。
『敵に勝つためには、まず己に勝つべし。時には戦わない勇気も必要なり』
宮本の方を向いて説教をしている近藤に背後から忍び寄ってビニール袋を近藤の鼻に押し付ける千葉。
近藤「うわ!!!くっせぇ!!!」
宮本「おい!!逃げるぞ!!」
2台のバイクにまたがる宮本と千葉。
佐々木「おい!!バイクの免許なんか持ってないだろ!!?」
宮本「いいから!!」
ななめがけのかばんの紐を強引にわし掴みにして無理やり自分の後ろに乗っける宮本。
宮本の腕力に半分飛ばされながら後ろに乗せられる佐々木。
バイクを走らせ、宮本の後ろで暴走族並みに棒を振り回す佐々木。
ひとりひとりライトが当てられ、名前と役名がナレーションされる。
宮本「…ちょっと待って。ブレーキ効かない」
佐々木「えぇ!!?」
千葉「お前、完璧死ぬな(笑)…え、ちょっと待って…俺も効かない」
「「「うわぁーーーーー」」」
幕が閉まり、衝突する音が響く。
≪弁慶の時代≫
戦の様子。
ひとりひとりライトがあたって名前と役名がナレーションされる(伊勢・海尊・義経・弁慶・後白河…)
戦を順調に勝ち進めている義経軍。それを喜ぶ伊勢・海尊・義経・弁慶。
弁慶「お前は使えんのぉ。強くなければ、呪術も役に立たん」
海尊「呪術は修行の一環でやってただけで…」
弁慶「お前は気も利かせられんか!祝いの席と言ったらいるものがあるじゃろ」
海尊「と、言いますと…?」
「酒じゃよ」と優しく教えてあげる伊勢。
海尊「あ…あぁ…酒ね」
弁慶「『あ…酒ね』……じゃねぇーよ!!!じゃねぇーーよ…じゃねぇーーよぉぉ。…わしはどうもおぬしが好かん。そのおどおどとした態度が余計腹が立つ!」
海尊「私はオタクなどではない!」
呪術を唱え始める海尊。おどろおどろしい雰囲気が周りをつつむ。
突然、弁慶のおぶっている赤ちゃんが泣きだす。
弁慶「お前っ!!わしの子に何をした」
海尊「えぇい!」
ぴたりと泣きやむ赤ちゃん。
海尊「あなたは私の術で『面白い人』になりました」
弁慶「お、面白い人…(苦笑い)。面白い人って、なんかすごい広くないか(笑)」←まじ困り
1コ目:おならをするしぐさ「ぷぅ~」⇒失笑
義経「おもしろい話とかでもいいんじゃないか?」(笑)
2コ目:『親父の話』
九州男児で子どもの前で情けないところを見せなかった父親。子どもの頃鍾乳洞に行ったときに長い階段を下りていた。父親は「しっかり(手すり)持てよ!」「こけたら大変なことになるからな」と子どもたちに言い聞かせていたが、当の本人がこけて階段をずだだだだーっと落ちて行った。
弁慶「恥ずかしかったのと、子どもたちに何か伝えようとしたんでしょうね。ずだだだだーって落ちながら『こうなるぞぉぉぉ』って(笑)」⇒爆笑
爆笑をとったことに気を良くし、「術が効いたからですよ」と満足げな海尊。
弁慶「男だったら腕っ節で勝負しろ」
弁慶の挑発に弁慶の胸元を殴る海尊。
弁慶「全く効かぬな」
何度も殴ってもビクともしない弁慶。
やけくそになった海尊が弁慶のすねを蹴ると「痛い痛い」と崩れ落ちる弁慶。
弁慶「すねは卑怯じゃろぉ!!」
義経「あの弁慶が…」
海尊「今日からここを『弁慶の泣き所』と名付けましょう!」
酒の調達に行く伊勢についていく海尊(去り際にもう一度すねに蹴りを入れる)
弁慶「…あのクソ坊主」
2人きりになる義経と弁慶。義経が遠くを見ながら夢を語りだす。
義経が夢を語ってるのに散々ちゃちゃを入れる弁慶。
義経「皇族や公家が支配しない、武士だけの世を作るんだ」
弁慶「ひゅう~~~☆」
義経「…弁慶、ふざけてるだろ(笑)」
弁慶「ふざけてないですって(笑)…ついていきまっせ?」
義経「…なぜ語尾に『まっせ』をつけた」
弁慶「いや、気分転換に」
義経「やっぱふぜけてるじゃないか(笑)」
弁慶「ふざけてませんってー」
義経「ふざけてるって、目が泳いでたもん(笑)」
弁慶「泳いでないですってー」
義経「そうかぁ?(笑)」
弁慶の前を歩いていく義経。
弁慶「だーかーらぁ、ふざけてないですって」
そう言った瞬間、弁慶は義経の背中めがけて長刀を振りおろす。
弁慶「義経様、義経様ぁ!!!」
その声に伊勢と海尊が戻ってくる。
横たわっている義経。
伊勢「何があった!!?」
敵の残党から自分を庇って義経が斬られたと説明する弁慶。
くそう、と残党を探す2人。
弁慶「もう遅い!!もう行ってしまったわ…海尊、お前の術で義経様を蘇らせてくれ…頼む。この通りじゃ…弁慶この通りじゃあ・・・」
土下座をしてお願いする弁慶。
海尊「…わかりました。やってみましょう」
術を唱え始めると地響きがし始める。
海尊「破っ!!」
暗転し、明転するとさっきまであったはずの義経の遺体が消えてしまった。
弁慶「わしは蘇らせてくれと言っただけで、消してくれとは言ってないぞ!」
海尊「確かにおっしゃる通りです…ただ、消えたことに驚きましょ?」(笑)
伊勢「まぁ、確かにすごいが…」
もう1度術を唱え始めるとまた地響きがし始める。
海尊「破っ!!」
暗転し、明転すると若手芸人が登場(笑)
(2回目公演:ライパッチ、3回目公演:それいけ!斎藤くん)
ひとしきりネタをやって斬られる若手。
もう1度術を唱える。
海尊「破っ!!」
「「「うわぁぁぁぁ!!!」」」
暗転し、明転すると佐々木・宮本・千葉がいきなり転がり出てくる。
千葉「痛ってぇ~…」
伊勢・海尊「殿!!!殿が生き返ったぞ!!!」
佐々木「え?」
佐々木のもとに嬉しそうに走り寄る伊勢と海尊。
宮本と千葉の佐々木へのなれなれしい態度に刀をむける伊勢。
宮本は手を挙げつつ、右手で千葉を庇う。
佐々木に駆け寄らず、遠くから様子を見ている弁慶。
弁慶「…何故じゃ…」
暗転
佐々木・宮本・千葉の3人だけ。
宮本「義経って美男子だったんだろ?」
得意げにキメポーズをする佐々木。
千葉「俺には白いブタにしか見えないけどなぁー」
佐々木「おい!(笑)」
宮本「いや、カッコイイよ」
面白がって殿だ殿だとはやし立てる宮本と千葉。
宮本・千葉「「ね!殿♪」」
佐々木「おい!恥ずかしいから殿は止めろって」
宮本「つーかさ、伊勢っていうおっさん、近藤にそっくりじゃなかった!?」
千葉「俺も思った!」
海尊の術でこっちの世界に来たんだから、もう一度海尊にお願いしたら元の世界に戻れるんじゃないか?と提案する宮本。
そんな3人の後ろで赤ちゃんがぐずるたびに手慣れた様子であやす弁慶。
海尊がやってくる。
千葉「あ、海尊♪」
海尊「今日は天気が良いので、山に散策に出かけませんか?」
千葉「散歩?いいねー」
佐々木「なんであいつら仲良くなってんの?」
海尊「あのー…例のものも…」
千葉「あぁ!!…海尊も好きねぇ~♪」
海尊「あの熟成した匂いがたまらなくて」(笑)
千葉「お前らは?」
宮本「いいや」
千葉「そ。ノリ悪いねぇ~、俺はノリいいけどね♪」
海尊「好きですよ?そのノリ」
千葉と海尊が散歩に行ってしまう。
入れ替わりに伊勢が来る。
伊勢「殿の症状が書かれた書物によると、この症状は『記憶喪失』だそうです」
「殿♪」とまたはやし立てる宮本。馴れ馴れしいと刀を向ける伊勢。
佐々木「いいの、いいの!」
宮本を後ろに庇う佐々木。
座っている宮本を見て
伊勢「もし、あいつが下手な真似をしたら言ってください。殺します。」
そう言って去っていく伊勢を見て、宮本。
宮本「あいつ頭おかしいんじゃねーの(笑)」
後ろでまた弁慶の赤ちゃんがぐずり始める。
抱っこをやめ、地面に子どもを下ろす。
弁慶「低い、低~い。ほ~ら低いぞぉ。思ってるより低いぞぉ」(高い高いの逆)
「ほーら、トライトライ」(ラグビーのトライのように赤ちゃんをトライしていく)
佐々木「トライトライじゃ赤ちゃん喜びませんよ!僕、赤ちゃん好きなんで良かったら抱っこさせてもらえませんか?」
弁慶「あぁ、ほら」
赤ちゃんを佐々木に投げて渡す弁慶(笑)
佐々木「ちょっと!!何してるんですか…って、あれ?笑ってる」
弁慶「笑った?…弁太郎が初めて笑った…」
佐々木「ってことはコレが初笑いですか?…そっかー」
今度は赤ちゃんが泣き始める。
佐々木「これは、ウンチですね~」
弁慶「・・・・・・・・・・・・・・・・・殿、この子はウンチではなく弁太郎です」
佐々木「いや、そうじゃなくて!!僕もさすがによその子を捕まえて「これはウンチだ!!」とは言いませんよ!!!言葉が足りなかったですね!!すいません!!「この子はウンチだ!」って言ったことは一回流してください!!…いや、ウンチだから流すってわけじゃないですよ!!?一回置いといて…」
弁慶「ウンチを置いておくんですか?」
佐々木「そうじゃなくて!」
弁慶「『弁太郎』だからですか?弁太郎の『べん』は『便』の方…」
佐々木「違います!言葉が足りなかったですね!!この子が泣いている原因がウンチだと言ってるんです!弁太郎だからウンチっていったんじゃないんです!原因がウンチって言ったんです!!」
弁慶「…そんなに言わなくてもはじめの2秒でわかりましたよ」
佐々木「僕、オムツ換えれるんでやりますよ。行きましょ?」
と、弁慶を呼ぶ佐々木。
弁慶「・・・・・・・・あ、あぁ…」