川越style「蔵と現代美術展2018」~響き合う空間~ | 「小江戸川越STYLE」

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「小江戸川越STYLE」代表:石川真

アートの力で川越の魅力を「再発見」する。


2018年11月17日(土)〜11月25日(日)に川越市元町札の辻周辺で開催されているのが、「蔵と現代美術展プレ2018」~響き合う空間~。


蔵のまち川越×現代アート。
「蔵と現代美術展」は、歴史ある川越の蔵づくりと今を生きる現代美術が響き合い、鮮明に蔵の歴史を印象づける美術展です。

 

■参加作家(五十音順)
池田 洸太
岩渕 祐一
大森 里美
SHIGAKI Yasuhito
田村 優幸
中村 譲 
成田 浩彰
福島 里美
町田 佳奈子
松原 由加子
宮川 千明
茂木 ヤスヒロ
山本 麻世 
吉田 実
■会場案内

A 旧山崎家別邸(屋内・外)
松江町2-7-8 9:30~17:30 入場料¥100-
定休日:11/21(水)


C 亀屋本店袖蔵(屋内)
川越市仲町4-3
9:00~18:00 無休


E 木元設計事務所2階(屋内)
川越市元町1-16-7
10:00~12:00,13:00~17:00
定休日:11/21(水)

B 仲町観光案内所(屋内)
仲町2-3 9:30~17:00
定休日:11/18(日)

D 風凛 寿司会席奥庭(屋外)
仲町6−4 10:00~17:00
定休日:11/21(水)

F 札の辻交差点広場(屋外)
元町2-4‐2
24時間 無休


G 小川長倉庫 A・B【展示本部】(屋内)
元町2-6-6 11:00~17:00​
​定休日:11/21(水)

H 中正屋美術館(屋内)
石原町1-2-1 11:00~17:00 定休日:11/20(火)・21(水
 

◆会場案内
https://www.kura-art-kawagoe.com/map
・オープン時間・休館日は施設によって異なります。
・展示本部(小川町倉庫前)では各種案内・記録集の販売等を行っています。本部へのお問い合わせは下記番号まで。
TEL 090-4209-1233
・展示本部定休日は11/21(水)となります。

◆アクセス《川越市元町札の辻周辺 にて》
https://www.kura-art-kawagoe.com/access
・西武新宿線本川越駅より徒歩10分
・東武東上線・JR埼京線川越駅より徒歩20分
または川越駅東口1.2.4.5.6番のりばから、東武バス「蔵のまち」経由で「札の辻」下車

(各会場に会場マップが掲載されたチラシが置かれています)


「プレ蔵と現代美術展2018」
主催:蔵と現代美術展実行委員会
​後援:川越市  川越市教育委員会  NPO法人川越蔵の会
助成:川越市協働事業
連絡先 〒350-0057 埼玉県川越市大手町2-5-306
E-mail kuratogendaibijututen2015@gmail.com ( 担当:田村)
◆蔵と現代美術展 公式HP
https://www.kura-art-kawagoe.com/
◆蔵と現代美術展 公式Twitter
https://twitter.com/kuratenkuraten

「蔵と現代美術展ー響き合う空間ー」は隔年で開催されており、2017年に第5回が開催されました。次回の第6回は2019年開催予定で、今年は「プレ」という位置付け。隔年開催の間の年をプレとして期間や会場を縮小して開催している。

本開催では3週間近くという長期間、20のスポットで作品が展示されていました。


(川越style「第5回 蔵と現代美術展ー響き合う空間ー」2017年11月3日(金)~23日(木)
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12219553772.html

「第5回蔵と現代美術展」の建畠晢氏の講評を紹介します。
『美術館や画廊ではなく、実際の市民生活が営まれている街中で現代美術展を開くことは今日では珍しくなくなっているが、本展のように歴史的文化遺産である川越の蔵を会場とするとなると、そこにさらにスリリングな、またまたより困難なところもあるに違いない条件が加わるわけで、アドバイザーとしては毎回、期待と不安とが入り混じったような思いで準備を見守ってきたのであった。蔵というのは収納するための場所、保存するための施設であって、およそ展示し公開するという機能とは対極的な役割を有しているはずである。光ではなく闇が支配する空間といってもよいだろう。
しかし企画者たちは、あえてそれを“響き合う空間”と呼ぶ。蔵独特の密閉された空間は、現代美術の展示場として極めて適しているというのだ。それも単に展示場として利用するというのではなく、建造物と一体化した空間として積極的に活かすことが目論まれているわけである。
今回の会場では従来以上に興味深い取り組みが多々見られたように思う。市域に点在する20ほどのスポットで展示されているのだが、まずは地図を片手に見て回ること自体が、自ずからこの街並みの魅力に触れるユニークな体験をもたらしてくれることになる。美術館での鑑賞に比べれば時間も労力もかかるが、それだけにそれぞれの場で、作品とのより新鮮な出会いが生まれるのも事実であった。
たとえば石原宿ギャラリーBでの森佳三の展示を見てみよう。骨董の道具類がひしめく天井に高い薄暗がりの空間に、白い大きなオブジェが何点かふんわりと浮かんでいる。通常ならホワイトキューブのギャラリーに展示されるべき作品であろうが、こうした雑然とした場所に取り込まれることによって、かえってオブジェとしての存在感を増し、周囲の空間とシンクロして不可思議な雰囲気を醸し出しているのが興味深い。隣のギャラリーAでは、田村優幸が太い梁が交差する部屋の床に25枚の和紙を細い支柱で中空に浮かした端然たるインスタレーションを制作し、森の作品とは対照的な繊細で親和的な感覚を演出して見せている点が注目された。小川長倉庫ではがらんとした部屋の壁の木組みの上に小林裕児の幻想的な物語性をはらんだタブローの大作が掛けられており、そのラフな展示環境がこの画家ならではの緻密にして濃厚な描写の世界に対する巧まざる演出効果をなしていたように思われる。
20のスポットには蔵以外にも和風の屋敷や寺、本丸御殿などが含まれていたが、中でも強いインパクトがあったのは山本麻生の本丸御殿の白砂の中庭に設置されたうねうねとくねる赤い長大な謎の生き物(?)で、野太くもまたユーモラスな彼女の造形力は高く評価されてよいだろう。
川越は蔵の町としてあまねく知られており、多くの観光客を集めてもいるが、このプロジェクトはお仕着せの観光ルートとはちょっとはずれたところにある蔵の魅力の探索の機会でもあり、また蔵という場の力による現代美術の面白さの再発見の機会でもあるだろう。もちろん先に述べたように条件の整わない場所に展示することにはさまざまな難問をクリヤーしなければならず、また作品に対する規制も少なくはなかったはずである。展覧会の実現に尽力された方々に、深く敬意を捧げなければなるまい。』

企画アドバイザー  建畠晢


蔵と現代美術展は、蔵と響きあうという表現がまさに適している展示会。


芸術の秋は、全国各地で大規模な美術展が開催されて賑わっていますが、川越で美術展と言えば、市立美術館の発信のみならず、民間ギャラリーなどでも美術の展覧会は活発に行われている川越。
蔵と現代美術展が他の動きと一線を画するのは、屋内会場で多い開催と比べ、屋外会場も積極的に使用して展開している点。
室内会場では来場者はそこへ意識して訪問しますが、屋外だと美術の敷居が低くなる、どころか、
無いがごときであり、街往く人が無意識のうちにアートに触れることになる。
街の中にアートが溶け込み、街の風景を変え、街の意識を変えていく、そこにアートがあるだけで、街が動き出していくような期待感が高まっていく。
待ちの姿勢ではなく、アートの方から街へ出て、提案している姿勢。

作品展示の会場は、駅からアクセスしやすい立地で明るい照明に照らされた空間・・・とは真逆な場所。
蔵と現代美術展で、舞台として掛け合わせるのが、川越の一番街をはじめとした蔵の空間。
芸術ということで言えば、一番街の街並み自体が、まず壮大な芸術である。
ここに在ることが、既に毎日展示会が開催されているようなもので、
この街並みがあり、普段目にしていることで、川越人の意識の文化度は上がっている部分はあるはず。目が肥えていくのだ。
建物があれば空間がある。そこはアート作品の展示の可能性もある。蔵は本来的に展覧会のポテンシャルを持っているのだ。

ここで考えたいのが、蔵における光と陰という表裏。
光と陰というのが蔵の持つ特徴で、それは川越の特徴にもなっている。
蔵作りの建物・街並みは、観光地として認識されるような明るい表の部分だけでなく、見過ごされることが多いですが蔵の特性上、陰が多いのも特徴で、光と陰が蔵の、一番街の魅力であるという本質がある。
「陰があってこその」表であり、街並みが輝いているのだ。
蔵と現代美術展の会場は、その、蔵の陰の部分にフォーカスしていると言える。
ある会場は、地元の人も知らないような蔵であり、ある会場は薄暗いというか鬱蒼とした蔵内であり、
ある会場は脇道を入った先にある一般の観光客が訪ねないような場所にある。
という場所を、意図してあえて選んでいるのが、この展示会なのでした。
しっかりと陰を感じながら蔵を見ることができるというのも、この展示会のポイントであり、川越をより感じることに繋がる。
会場を巡ること自体が、川越のディープ散策にもなっていて、川越の奥深さをきっと感じられる。
さらにアート作品とのコラボで両者が生み出す何かを体感できる面白さがありました。

蔵造りの建物は他のものと相対化されるということは、まずない。
蔵と現代美術展でアートと組み合わされて、蔵とは?川越とは何か?と問われるようで、アート作品がそこにあることで、「この蔵はこんな見え方、感じ方をするものだったのか」と気付くことがあり、
アーティストたちも、作品が先にあり場所を決めた人もいれば、場所が先に決まり、それに合わせた作品を制作する人もいて、
ギャラリーなどの展示会と違って「場」を強く意識しながらの作品展示になることは間違いない。
蔵の場から受けるインスピレーションもアーティストたちにとっては新鮮な感じだったはず。

一番街から進むなら、仲町交差点近くにある、「亀屋本店」さん、「風凛」さん。
亀屋さんの袖蔵が美術展のみならず、催しの会場となることはめったになく、見るだけでも貴重。
亀屋さんの協力あってこそですが、この場所に目をつけた蔵と現代美術展実行委員会のセレクト感に感嘆するのだ。

風凛さんというのが蔵と現代美術展らしく、表通りから見過ごしがちになる細道を入った先にあります。
街に溶け込むといっても、簡単に溶け込ませた展示にはしない、細道の先に出会えるというのがポイント。
一番街を北に進むもよし、仲町交差点を東へ進んで「仲町観光案内所」や「旧山崎家別邸」に立ち寄るのも良し。
旧山崎家別邸は、大きな会場の特性を活かし屋外・室内合わせて蔵と現代美術展最大の作品数が展示されています。
さらに詳しく言及するなら、場の中でもさらにここに目をつけたかという場を選んでいるのが面白く、
旧山崎家別邸ではこれまで広く公開されていなかった場も会場としていたところがありました。
実は知る人が見れば驚くような場所に作品が展示されていた。
旧山崎家別邸からそのまま北へ向かえば時の鐘がある鐘つき通り。
時の鐘から一番街へ出て札の辻へ行くのも、あえて細道を選ぶなら本町新道から北へ歩いて行くも良し。
「札の辻」が展示会場になるのもお馴染みで、毎回巨大作品が道往く人の目を奪い続けている。
札の辻から北へ進んで右手に見えるのが弁天横丁。
横丁の入り口は一見すると入って行くのを躊躇するかもしれませんが、こうした場所に素の川越がある。
弁天横丁の先に見える長屋の一つ、「木元設計事務所2階」も会場。
ここでも繰り返しになるが、こうした場所を選んでいる感性が川越的にくすぐられるものがあるはず。
弁天横丁から札の辻へ戻り西へ、高澤通りからこれまた奥に入った先にある会場が、小川長倉庫。
そして、高澤通りを進んで赤間川を越えたふもとにあるのが、「中正屋」さん。
中正屋さんが会場ではなく、中正屋さんの裏手にある蔵が会場になっており、裏から回って入る形になります。


◆亀屋本店袖蔵(屋内)
天明三年(江戸時代)創業の老舗和菓子店「亀屋」。いつもお土産を買う観光客で賑わっています。
目を引くのが、重厚で豪華な蔵造り外観です。この建物は明治27年、5代目山崎嘉七が建てたもの。
正面には店蔵と袖蔵が並び、裏には美術館として利用されている土蔵などが配されています。(埼玉県川越の観光・お出かけ・地域情報サイト カワゴエール様より引用)
※川越市仲町4-3
※営業時間:9:00~18:00
※無休
◇展示作家
中村譲

 

◆風鈴 寿司会席奥庭


店名の「風凛」は、伝統ある建造物に清々しい時を吹き込み、さらに磨きあげていきたいという想いで名付けられました。古き良き風情が薫る空間に、新たな時の流れも息吹かれ凛とした佇まいを演出。夜になるとライトアップされた庭園は、より情緒が深まり隠れ家風な雰囲気が漂います。(公式HPより引用)
・10:00〜17:00※作品をご鑑賞するのに最適な時間帯となります。
※営業時間
【土・日・祝】
ランチ 11:30~15:30(L.O.14:30)
【月・火・木・金】
ランチ 11:30~15:00(L.O.14:00)
【月・火・木~日・祝日】
ディナー 17:00~22:00(L.O.21:00)

※定休日:水曜日
◇展示作家
町田 佳奈子

 

◆仲町観光案内所(屋内)


仲町観光案内所では、観光客のみなさま向けに便利なサービスを提供しています。スマートフォンやタブレットがあれば、蔵造りの町並みのガイドがお楽しみいただけます。(料金:500円)
また、日本語に加え、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、タイ語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語のパンフレットを提供しています。
ぜひご利用ください。(川越市HP施設紹介文より引用)
※川越市仲町2-3
※ 9:30~17:00
※定休日:11/18(日)
◇展示作家
田村優幸(蔵と現代美術展実行委員長)



◆旧山崎家別邸(屋内・外)


旧山崎家別邸は、平成12年に主屋・茶室・腰掛待合が市指定有形文化財となり、平成18年に建物部分が市へ寄贈されました。平成23年2月には、庭園が国登録記念物(名勝地)に登録されました。
旧山崎家別邸の庭園は、和館、洋館の建築とともに、保岡勝也が設計した茶室を含む和風庭園の事例として価値があると認められ、「造園文化の発展に寄与しているもの」として高く評価されています。(川越市HP施設紹介文より引用)
※川越市松江町2-7-8
※9:30~17:30 
※入場料¥100- 
※定休日:11/21(水)
◇展示作家
岩渕祐一
大森里美
SHIGAKI Yasuhito
成田浩彰
福島里美
山本麻世(屋外)

 

◆札の辻交差点広場(屋外)


駅から歩いてから、蔵造りの街並みを観光し、札の辻に着く頃にはそろそろ「ちょっと座ろうか…」という気分になります。
札の辻交差点の角に設置されているポケットパーク(ミニ公園)のすぐ近くに今回の作品が展示されていますのでお楽しみに♪
※川越市元町2-4‐2
※展示時間:11月17日(土)〜11月25日(日)
◇展示作家
池田 洸太



◆木元設計事務所2階


◇木元洋佑建築設計【公式HP】
https://www.hare-ma.com/
※川越市元町1-16-7
※営業時間:10:00~12:00,13:00~17:00
※ 定休日:11/21(水)
◇展示作家
吉田 実



◆小川長倉庫 A・B (屋内)【展示本部】


※川越市元町2-6-6
※11:00~17:00​
※​定休日:11/21(水)
※展示本部では各種案内・記録集の販売等を行っています。
◇展示作家
宮川 千明
茂木 ヤスヒロ



◆中正屋美術館(屋内)


高澤橋を渡ってすぐのところにある『日本料理・手打ち蕎麦 「中正屋」』。
その裏手に回ると大きな蔵があり、中は綺麗に整備された美術館となっております。
※川越市石原町1-2-1
※11:00~17:00
※定休日:11/20(火)・21(水)
◇展示作家
松原 由加子

 

蔵はアート作品が掛け合わされることで場が改めて見直され、アート作品は蔵と掛け合わされることでより引き立てられるよう。
異質なものを組み合わせることの実験で、お互いがお互いを照射し、結果、お互いの価値を高め合う相乗効果が発生していた。

蔵は生きている。
蔵がアート作品に刺激されて、生き生きとし出すようだった。
 

川越らしい美術展で、「川越でしかできない」美術展。

川越の街が、アートで活性化していきます。


「プレ蔵と現代美術展2018」

2018年11月17日(土)〜11月25日(日)
主催:蔵と現代美術展実行委員会
​後援:川越市  川越市教育委員会  NPO法人川越蔵の会
助成:川越市協働事業
連絡先 〒350-0057 埼玉県川越市大手町2-5-306
E-mail kuratogendaibijututen2015@gmail.com ( 担当:田村)
◆蔵と現代美術展 公式HP
https://www.kura-art-kawagoe.com/
◆蔵と現代美術展 公式Twitter
https://twitter.com/kuratenkuraten