「生地が美味しいって言ってもらえると嬉しいですね」
パン職人にとって、生地を美味しいと言ってもらえることがなにより嬉しいこと。
だからこそ、
生地の美味しさにこだわります。
5月25日開催、
去年に引き続き川越パンマルシェに出店するベッカライ0044さん。
お店があるのは霞ヶ関です。
3回目の開催となる川越パンマルシェは、
回を重ねるごとにネームバリューが高まって、
出店することがお店にとってブランド化になっている面もあり。
そして、ベッカライさんに出店してもらうことで、
パンマルシェの魅力もアップしています♪
お店は午前中の開店から夜まで、
ひっきりなしに人が訪れ、
パン屋というのみならず、霞ヶ関地域に活気を与え、
地域を盛り上げているお店です。
一年ぶりにお店の様子を伝えます。
あれから、どんな風に変わっているでしょう。。。
改めて取材分を加筆して、パンの話しを層のように重ねて、
じっくりベッカライのことを紹介します。
パン屋さんはそれぞれ、
こだわりのパンがあります。
中でも、シンプルだからこそ「バケットは神経を使う」と語り、
そして、お店の個性としてこだわりたいパンがあります。
これだ、と信念を持ってこだわり、
お客さんに知ってもらって食べてもらいたい自分のパンがある。
こだわるからこそ想いが伝わり、
いつのまにかお店の代名詞的なパンになっている。
ベッカライ0044の店主、榊原さんに、
『こだわってるパンは何ですか??』と訊ねた時に、
まっ先に名前を挙げたパンが、
「食パン」だったんです。
そこには・・・
2006年にお店を始める時からの
想いがありました。
いや、もっともっと前からの思い入れと言った方がいいかもしれません。
パンが食べるのが好きで、
小さな頃から食パンが大好きだった、と。
お店の看板商品にしたいと試行錯誤し、
それが今では
お店の人気商品になっていて、
たくさんのお客さんに支持されています。
午前中に買い求める方、
閉店間際の時間まで「食パンを」と買っていく光景がある。
噛みしめた時のほんのり甘みが広がり、
翌朝トーストした時の香ばしさ。
毎日食べても飽きない日常食としての、この食パン。
お店に伺ったのは夕方でしたが、
この時間でも次から次にお客さんがやって来ていました。
昼時は外まで並ぶくらいの人気店です。
地域に愛され、地域の生活になくてはならないお店だと、
食パンを買い求める方の姿を見ていて思いました。
ベッカライの榊原さんには、
ブレない信念がありました。
美味しい食パンのお店を作りたい、と。
真摯な姿勢がありました。
毎朝の朝食は、自分で焼いた食パンを自分で食べ、
風味の違いを感じ取ろうとしています。
時には夕飯にも自分の食パンを食べる。
そして、謙虚な姿勢がありました。
「それでも同じようなものはなかなか作れない」と。
川越パンマルシェに関わって、
パン職人に話し聞かせてもらうと、感化される面がたくさんあります。
みなさんが真摯にパンに向かう話しを聞いていると、
こちらまで背筋が伸びるのを感じます。
パンだけを伝えるのではなく、
パンに向かう姿勢、
そこまで感じてもらえるよう伝えたい♪
今日は、川越の霞ヶ関にある、
「ベッカライ0044」のお話です。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
東武東上線、霞ヶ関駅から、
その通り沿い右手にお店はあります。
この地域は大学もあり、角栄団地もあるし、若い家族も多い、
お客さんの年代は本当に幅広いと言います。
そして、リピーターが9割くらいという、
地域に根差し地域になくてはならないお店。
店内から入口のガラス越しに外からお客さんが入ってくるのを見かけると、
顔を見れば買うパンがすぐに分かるそう。
お客さんの嗜好を覚えているのもそうですが、
ベッカライに求めるパンが決まっているところに、
「人と店」の双方の深い関係性を感じます。
お店に並ぶパンは、惣菜パン、菓子パン、ハード系パン、
いろんなパンをまんべんなく置いています。
カレーパン
つぶあんパン
有機あんのこしあんパン
和風きのこパン
フォカッチャ
アンチョビオリーブとチーズのパン
チーズパン
ピーカンナッツ
ミックスフルーツクリームチーズパン
ソーセージパン
粒マスタードポテトパン
野沢菜パン
あぶりチキンパン
トマトバジルパン
ビーフシチューパン
めんたいマヨパン
ベーグル
ポンデケージョ(ブラジルのお菓子)
メロンパン
ミルクロール
カフェオレクリームパン
いちごジャムカスタードパン
チョコクランベリー
黒ゴマロール
シナモンレーズンのかぼちゃパン
スコーン各種
「お客さんのことを考えて、馴染みのあるものを作るようにしていて、
それと他では買えないもの。その両方のパンを焼いています」
小麦粉をはじめ素材にこだわり、
気温の変化を感じ取り、
全てを手作りで焼き、
保存剤などを使わず、
全工程を一人で管理し、
だからこその風味のパンです。
パンは生き物。焼き上がった時は完成ではなく、
食感などそこからも変化していきます。
その変化があることが、
パンが生き物であると実感できる部分です。
個人店が焼くパンでもあります。
「パンはできるだけ新鮮なうちに食べてもらいたいです」
ショーケースに並ぶパンたちを見て、気付きました。
以前と比べると、ハード系が増えた印象があります。
それだけ求める方が、地域に増えてきたのでしょうね♪
こういう変化に接すると、ハード系が浸透していくことで、
一つのお店が地域の人の味覚を育んでいるのを感じて、
パン屋さんの存在意義を思います。
榊原さんもハード系パンは、もっともっと食べてもらいたいと語ります。
人気なのは全粒粉のパンやフランスパン。
定番のパンでも、試行錯誤して中身を微調整して変化を加えていました。
この一年の間に、例えばフランスパンだったら
ベーコンの形を変えて食感を変えたり、と進化を続けています。
レーズン100は、レーズンが小麦粉と同量練り込んであります。お店の人気商品。
メランジェをはじめライ麦などの天然酵母パンが以前より豊富になっているのを感じます。
グリーンレーズンから起こした酵母は、
オープンから8年間、継ぎ足し継ぎ足ししているもの。
パン作りで難しいのが気温の管理。
気温で発酵の仕方が変わって生地が変化してしまう。細心の注意が必要です。
レーズン100はお店でよく売れるそう。
こういうパンが人気っていうのが、
「霞ヶ関でハード系買うならここ!」と
認知されてるんだなと思います。
パン作りは、地味で孤独で手間がかかって、と
大変さは挙げたらきりがないと話しますが、
「それでもパンが好き」とパンを見つめます。
一人で全工程を管理し、
一人で全部を見ているから、出来上がりに責任を持てるし、
満足できるパンが焼けた時の喜びは格別、と語ります。
「特に、フランスパンが上手く焼けた時は、自分へのご褒美になりますね(笑)」
シンプルな素材だからこそ、難しいフランスパン。
「ちょっとでも気を抜くと、いいバケットが出ないんです」
だからこそ、パン職人がこだわるパン。
見た目がしっかり割れていること、
穴が開いているかどうか、
なにより大事なのは、
食べた時に鼻から風味が抜けること、
その風味を一番大事にしていると話します。
改めて見るベッカライのショーケースは、
たくさんの種類のパンが並んで、
見ているだけで幸せな気持ちになります(*^o^*)
このショーケースの中を見ていて、
フランスパンの話しと合わせハッとしました。。。
パンは、作ろうと思ったら小麦粉に塩、水、イーストで作れる。
シンプルな食べ物なのに、これだけの種類がある。
目の前に並ぶパンは、
日本生まれのあんぱんがあったり、
フランスパンがあったり、イギリス生まれのパン、
ドイツ、ブラジル、世界中のパンがあることに気付きます。
こんな風に世界が一堂に介する食べ物って他にないし、
パンが世界中で食べられている縮図を見るようでした。。。♪
そして、お店の一番人気で、
「うちのメインの商品」と語るのが、
「食パンは、毎日食べるものじゃないですか??
そういうパンは馴染みあるものだし、大事にしたい。」
ベッカライの食パンは、
肩肘張らず毎日食べられる味。
こういうパン食べると思います、
シンプルでじんわりくる味だから主食になるんだって。
食パンが売れるという話しに、
このお店が地域に溶け込んでいる様子がよく分かりますよね。
榊原さんは、小さい頃からパンが好きで、
中でも食パンは好きでよく食べていた。
今でも自身が一番好きなパンは、食パン。
朝食に自分の食パン、
夕飯にも食べる時があって一日に二食、食パンの時もある。
だから自分のお店を考えた時、必然的に、
「一番最初は、美味しい食パンのお店を作りたかったし、
『食パンが美味しいお店』と言われるお店を作りたかったんです。
こだわったのは、
耳まで美味しい、冷めても美味しい食パン。
いいと思うものができるまでひたすら作り続けました」
食パンから始まったベッカライ0044。
2006年のオープン以来、
一人で試行錯誤し、小麦粉にこだわり、
8年経って地域になくてはならないお店になっています。
・・・と、ここでちょっと、
オープンの時の2006年前後にタイムスリップして、
ベッカライヒストリーを紐解いてみましょうか♪
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
生まれも育ちも川越の榊原さんは、
「将来的に作る(作る)仕事がしたかった。小学校の頃に近所で生イーストを使いパンを趣味で焼いていた友人の家でパン作りに参加させてもらいました。その時に、思い思いの形にしても良いとのことで、船の形に作って焼いた事が凄く楽しかった思い出。今となっては美味しかったかどうかは記憶にありませんが、パンって面白いなと思った。
後に、学生時代にパンの他にケーキや洋服の制作をしてみたりしましたが、毎日必要とされるのはパンかなと思い、大学を出る時に(株)神戸屋に就職しました。後、28歳で独立。今年で10周年を迎えます」
店名の由来は、4月4日生まれの榊原さんが好き勝手に焼く店というところから。
ドイツ語のベッカライ読みにしていますが、ドイツパンのお店ではありません。
ちなみに榊原さんはライ麦アレルギー。
始めのお店があったのが、東京国際大学のすぐ前の地だった。
あの場所にあった時代は、
お店自体もショーケースも小さく、
置いてるパンの種類も多くなかった。
一人で焼いて自分で接客販売する、最初の2、3年はそういう時代でした。
少しづつお店が知られるようになっていき、
地域の方で常連になってくれる方も増えていきました。
お客さんの顔を見れば、
なんのパンを買うかのか分かる。
そして2011年。
今の場所に移転します。
「今のこのお店には、店舗、パン、
自分がやりたいと思う形すべてを詰め込みました。
自分が考える、『こういうパン屋さんをやりたい』という思い、
それを注ぎ込んで形にしたのがこのお店です」
移転してパンの種類が増え、変化した面もある中で、
ずっと変わらないものがありました。
それはお店の奥にありました。
変わらないもの、それはオープンから
ずっと使い続けているオーブンです。
8年間使っていて、今でも毎日
朝10時の開店に向けて、
朝早くから次々と釜からパンが焼き上がっていきます。
釜から出てくるパンは
ふんわりとして香ばしい香りを放ち、
そして、焼き上がったパンはすぐにショーケースに並べられ、
お客さんの目の前へ。
パン屋さんは、パンを焼くことで充分過ぎるくらい
地域貢献しているんだと思います。
美味しいパンを日常的に食べられる環境が、
住む人の気持ちを豊かにしてくれる。
パンにはそういうチカラがあると思います。
お店の開店までにパンを揃えられるよう、
朝の3時から仕事を始め、
コツコツ地道な作業を繰り返して、日々生み出されているパンたち。
霞ヶ関にパン食を浸透させ、
パンの文化を広げているベッカライ。
本当に美味しいパンは、
きちんとした素材を、
丁寧な仕事を重ね、
全部に気を配りながら、
そんなに大量に作れなくても、
釜から焼き上がったものなのではないかと思います。
普段、なかなかイベント出店する機会のないベッカライさん、
だから川越パンマルシェを
とても楽しみにしています。
お客さんとの繋がりだけでなく、
同じパン職人同士が蔵里の広場に集まり、
交流を深めるのを楽しみしている。
ぜひ食べてみてください。
「bakelike(ベッカライ)0044」
川越市的場北1-12-8
10:00~19:00
日・月休
お店に伺った日の夕方はあいにくの雨。
この天気で、この時間帯で、
こんなにひっきりなしにお客さんが来るなんて、と驚きました。
地域に根差し、街に解け込んでいるお店だと思います。。。♪