それまで眼中になかった紳士の
思いがけないお誘いに驚きつつも

間髪入れずに
イエスと返し
いそいそとタクシーに乗り込んだ。

イベントの関係者と仰る
この紳士との15分間。

大いに盛り上がって
あっという間に現地に着いた。

お代は気にするなと
言わんばかりに
わたしを先に急かしてくださり

お礼もそこそこに
会場に向かうが

いやいや
それではダメだ
向きを180度変えて
あの人の元に戻る。

お礼を言うためにもどったの?
と目を丸くしたあの人に

はい!
と笑顔で言えてよかった。

満足感と高揚感いっぱいの
最高に楽しい1日だった。

でも

その帰り道がまた驚きだった。

全席指定の電車に乗ると
私の隣には
あの人が、いたのだ。


まさか

と思いながら席に着く。

前を見て
小さく息を吐き
そっと
横を見ると

同時にあの人も
私を見た。


○○さん、、、ですよね??

同時に互いの名前を確認する。

歓喜のわたしに対して
あの人は

今まで
たくさんの人と出会ってきたけど…
本当に驚かれて
ストーカー、ですか?
みたいな雰囲気で
怖がって見せた。

が、しかし

私が下車するまでの約2時間。
話が尽きることはなく

初対面とは思えないほど
テンポよく言葉が交わされていく。


この先に
とんでもなく明るく
とんでもなく重苦しい時間が来るとは
露ほども思わなかった
衝撃的にしあわせな出会いの日だった。