自動車を所有している人は、通常、自賠責保険の他に、自動車保険(任意保険)に加入しているはずです。

この、自動車保険は、ここ10年で、従来の自動車保険とは意味合いが変わってきています。

つまり、昔の自動車保険は、万が一、自分が事故を起こしてしまった場合に、相手に対して賠償をすることが目的の保険でした(もちろん、車両保険は自分のためです)。

間接的には、多額の賠償金支払い義務を保険によって払うことで、間接的に自分の財産を守るという意味がありました。

しかし、現在の自動車保険は、直接、自分や自分の家族を守るための保険に変わってきています。

簡単に言うと、生命保険と同じような機能を果たす保険に変わったということです。


一つは、長引く不況の影響があるかどうかはわかりませんが、自動車保険に入れない人が増えてきています。つまり、相手が任意保険に入っていない場合は、自分や自分の家族に大きな損害が発生しても賠償してもらえないということです。

法律上、相手に賠償請求権があっても、お金のない人からとることは不可能です。

交通事故の相手がたまたまお金持ちであれば問題ありませんが、経済的理由から任意保険に入れない人もいるわけですから、そういう人に賠償を期待することはできません。


そうすると、万が一の事があり、今後は今までの仕事はできない、収入がなくなってしまう、というような場合には、自分の自動車保険を使う必要があります。



もう一つは、過失の問題。

相手が自動車保険に入っていて、保険会社に賠償金を請求できる状況であっても、事故の原因が100%相手にあるとは限りません。

例えば、自分の過失が30%あった場合、その30%分は、加害者に請求することができないのです。



これらの問題を解決するのが、自動車保険にセットになっている「人身傷害保険」です。


人身傷害保険は、基本的に過失の有無を問われませんので、うまく組み合わせることによって、自分の過失分は自分の保険に出してもらって、かつ、残りの部分は相手に請求することが可能になります。



現在、自動車保険の多くは、人身傷害保険がセットになっていますので、自動車保険に入っている人は人身傷害保険にも入っている事になっています。


しかし、大切なのは、その人身傷害保険の内容です。


ご自分の保険証書の内容を確認してください。


ポイントは、

① 金額は無制限になっているかどうか。無制限をおすすめします。

② 人身傷害保険が使える場面は、どのような場面か?

  「契約中のその車に乗っているときだけ使える」という人身傷害保険だと、


  例えば、自転車に乗っているときに事故にあった、歩行中に事故にあった。

   他人の車を借りて乗っているときに事故にあった 


と言うときには、使えません。

  多くの保険会社の人身傷害保険には、「交通事故であれば、歩行中であろうと、自転車に乗っているときであろうと、他人の車だろうと人身傷害保険が使える」というプランがありますので、そういう保険に変更することをおすすめします。



 もちろん、保険料は多少アップしますが、年間でせいぜい数千円のアップであることが多いです。万が一のために保険にはいるのですから、検討する価値はあると思います。


それから、弁護士費用特約も忘れずに入りましょう。

年間で1000円とか2000円とかの出費です。

これに入っていないために、泣き寝入りせざるを得ないこともあるのです。