くすんだ色。

音色というよりも音

というよりもノイズの集合

もしくは分散


























特に広いとも狭いとも感じない室内に少女はいた。

というより、もう長いこと感想なんてものも産出していない気がする

それすらも曖昧なほど非生産的は肉の塊は、かろうじて意識を孕んでいただけだった 









ぼくはかいきする。

というよりかいそうする。

そのなかをいきている。

そのなかでいきている。

そのなかをいきていく。

しりょくはおちていく。

ぼくにはかんけいのないことがらだから

しりょくはおちていく。

ぼくはかいそうする。











少女はぼんやりと一点を見つめていた。

濁りのないきれいな瞳だったが、

同時に輝きとか光とか

生気とかいった類のものもそこには無かった。

だからその肌は皮膚というよりも

もっと現実味を帯びていない物質で形成されているようだった。



左腕だけが妙に生々しく、ぬらぬらとしていた



鋭利な先端に付着した液体が酸素に触れて粘液化していく、

そのようすに見入る。

羨ましく感じながら、僕は体裁を気遣う袖を隠す












その部屋には窓もドアもカーテンもバスタブも排水溝もあった。

しかしその部屋には窓とかドアとかカーテンとかバスタブとか

排水溝くらいしかなかった。


だから彼女は美しかったんだと思うんだ今にも泣き出しそうな顔で恍惚とし、

力なく剃刀を握るその手は飾ってなんかいなかったんだ

だからこそぼくは憧れる。

羨望の対象であるその少女は退屈だっただけなのかもしれないし

そうじゃないのかもしれないし

退屈じゃなかったのかもしれないし

それだけだったのかもしれない。












そして僕は認知する。


音もなく全てを孕む