痴漢と言ふ名の電車 | koreyjpのブログ

痴漢と言ふ名の電車

 アメリカの劇作家、テネシー・ウィリアムズの書いた『欲望と言ふ名の電車』( Streetcar Named Desire)

は、アメリカ人の欲望と言ふものをあますところなく書いたもので、私も一応は読んでおかうと思って、読んだのは、成人してからであった。この書名の由来は、南部の都であるニューオーリーンズを走ってゐる市電の名称からとったものであった。それが、この劇の登場人物の描写と妙に一致してゐた。

 

 さて、話は変るが、日本の御代が昭和から平成に変るころだったと思ふが、日本の公共鉄道であるJRの車内のメッセージの一つに、電車が遅延したことへの説明、または言ひ訳として、「乗客の線路内への立ち入りのため」といふ言葉がスクリーンに現れるやうになった。私は、(なんで乗客が態々線路内に闖入したのか)といぶかしく思ったが、それを物知りの友人が説明してくれたものによれば、あれは痴漢を捕まへた騒ぎによるものを、婉曲に表現したものであるとのことで、私もやっと納得が行った。

 

 さて、痴漢とか虐めとかいふものは、社会においてはあるまじきものであるが、それを変に隠蔽すれば、その根は無くならない。極論すれば、マスコミが視聴者の劣情を変に刺激するから、この手の犯罪が助長されるので、元凶の一部はマスコミにある。このことは、広くマスコミ亡国論に敷衍できる要素を含んでゐるので、敢へて取り上げてみた。