読書あれこれ 12
砂原浩太郎氏の 「黛家の兄弟」 は面白かった。
読み応えのある本に出合うと嬉しいですね。となれば、その作家の
別の小説をネットで探して購入するというパターンで在庫の本が減
らない結果に繫がっている。
* 黛家の兄弟 砂原浩太朗著 KODANSHA
第165回直木賞、第34回山本周五郎賞候補『高瀬庄左衛門御留書』
の砂原浩太朗が描く、陥穽あり、乱刃あり、青春ありの躍動感溢れる
時代小説。
道は違えど、思いはひとつ。政争の嵐の中、三兄弟の絆が試される。
『高瀬庄左衛門御留書』の泰然たる感動から一転、今度は17歳の武
士が主人公。神山藩で代々筆頭家老の黛家。三男の新三郎は、兄た
ちとは付かず離れず、道場仲間の圭蔵と穏やかな青春の日々を過ご
している。しかし人生の転機を迎え、大目付を務める黒沢家に婿入り
し、政務を学び始めていた。そのさなか、黛家の未来を揺るがす大事
件が起こる。その理不尽な顛末に、三兄弟は翻弄されていく。
* 泣いたらあかんで通天閣 坂井希久子著 祥伝社文庫
「おとうちゃん、たっぷり愛してくれて おおきに、ありがとう。」
どん詰まり下町商店街に息づく、とびっきりの人情と懐かしい家族の
物語 シャッターが目立つちょっと寂しげな北詰通商店街に店を構
える「ラーメン味(み)よし」。「味よし」とは名ばかりで、店主のゲンコが
作るラーメンはえらく不味く、赤字続き。 ゲンコはしっかり者の一人
娘・センコの目を盗んでは、店をほったらかしてふらふら遊びに行っ
てしまう。 センコは帳簿とにらめっこしては頭を抱える日々。さらに
自身の厄介な恋愛問題にもモヤモヤしながら毎日を過ごしていた。
そんなある日、東京で就職した幼馴染のカメヤが突然帰ってきた。
だがコソコソしていてどこか様子がおかしい。さらにどういうわけか
ゲンコが、街の問題児・スルメを家で預かると言い出し、そんな余
裕はないと激怒するセンコだったが……。
くせ者揃いの家族とお節介なご近所さんに囲まれて、センコは自分
を育む「街の息遣い」をいとおしく思い、かけがえのないものに気が
付いていくのだった――。
* 波紋 堂場瞬一著 中公文庫
ある事件で昇進の道を絶たれた阿比留は、法月の異動を止めよう
とせず、失踪課内部には亀裂が広がりつつあった。腐る高城に法月
は五年前に交通事故現場から消えた男に関する事件の解決を託す。
高城の調査が始まった直後、男が勤めていた会社で爆発事件が発
生。犯行声明には失踪した男の署名が記されていた。
* 淫能の秘剣 北山悦史著 大洋時代文庫
上総国、大多喜藩の次男として生まれた望月繁次郎は、人を殺めて
しまったことを契機に剣の道に生きることを決心し、故郷を離れ江戸
へ向かう。過去を捨てるため、名前も柊仙太郎と変えた。腕も立つが
端正な顔立ちの仙太郎は行く先々で女性たちから秋波を送られ、村
の娘、武家の人妻などと情交を重ねるうちに男としても成長していく。
さらに戦いの場面において自分が人並み優れた異能を感得したこと
にも気付く…。