読書あれこれ 5
能登の大震災で始まった今年、未だに 15,000人近い方が避難
生活を強いられている。
裏金問題から、派閥の解散で政治不信の回復を目指す自民党、
政権を取って代わる力のある野党もなく、政治の混迷が続く。
トヨタ自動車のグルーブ企業が不正問題で揺れている。
心が躍るようなニュースが、スポーツだけとは寂し過ぎる。「どう
なるのか日本」 と危惧するばかりだ。
* 遺譜 下 内田康夫著 角川書店
美貌のヴァイオリニスト、アリシアから「遺譜」捜索の依頼を受けた
浅見光彦は、依頼の裏に戦前日本とドイツまで遡る陰謀があるこ
とに気づく。浅見家にも繋がる「遺譜」に隠された盟約と、陽一郎
の暗躍。真相を確かめるため赴いたドイツで、アリシアの祖母か
ら明かされた哀しい事実は浅見の大義と正義を揺るがす。70年
の時を経て甦る陰謀に、浅見家の人間として下す究極の決断と
は―。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト!
* カラスの親指 道尾秀介著 講談社文庫
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの
生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。
「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さ
ない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ
驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!
最初の直木賞ノミネート作品、第62回日本推理作家協会賞受賞作品。
* 善人長屋 大川契り 西條奈加著 新潮文庫
長屋の平和を守るため、悪党たちしぶしぶ大奮闘!スリに詐欺師に
美人局、実は凄腕ばかりの善人長屋に迷い込んだ本物の善人・加
助。人助けに燃え、減らず口の不良娘やケガをした当たり屋、不審
な傷だらけの男児など、面倒の種をせっせと連れ帰り、そのたび騒
動に巻き込まれる住人たちは戦々恐々。しかも拾った行き倒れが
西国の盗賊一味と判明。とばっちりで差配の母娘が囚われて―!?
* 嵯峨野花譜 葉室麟著 文春文庫
舞台は文政13年(1830年)の京都。年若くして活花の名手と評判の
高い少年僧・胤舜(いんしゅん)は、ある理由から父母と別れ、大覚
寺で修行に励む。「昔を忘れる花を活けてほしい」「亡くなった弟の
ような花を」「闇の中で花を活けよ」…次から次へと出される難題に、
胤舜は、少年のまっすぐな心で挑んでいく。歴史、能、和歌にまつ
わる、さまざまな花の姿を追い求め、繊細な感受性を持つ少年僧
が、母を想い、父と対決しながら成長をとげていく、美しい物語。