今日は散歩に出るつもりでいた。今日は畑の一切から逃れ、ゆっくり遊び、バレンシアの収穫発送は明日一気に済ませてしまう気でいたのだ。しかし俺の中で妙な気紛れが生じた。無計画な俺にしては珍しいことだ。一応、午前中少しだけでも気掛かりなバレンシア収穫を済ませておいて、万全の体勢で出掛けようと思い立ったのだ。

国産半栽培バレンシア。木上で14ヶ月 熟させる。収穫時には既に来年の幼い果実が有り、親子が同居している。親は少し青戻りを始める。

俺の気紛れは大正解だった。もし明日 収穫から発送全部やろうとしたら間に合わず、また大失態を犯すところだった。通年ならバレンシア収穫は およそ半日で終わらせ、昼から梱包発送作業に移るのがパターンだが、今日は収穫のみで一日が終わってしまった。今年のバレンシアは大豊作、バカ採れ。コンテナ12杯満タン(実は未だ採れる)。決して去年も悪くなかったが、今年は その二倍以上、これは過去最高量だ。そんなに成っているように見えなかった。危ない危ない。……しかし、これは決して俺が切れ者の仕事人だから為せた業ではない。完全なるマグレだ。まぁご存知の通り、今年のバレンシアは買い手が決まっている。俺にとっては今期のバカ採れは幸運以外の何者でもない。しかし仕事人としてではなく、詩人たる俺の計画は狂っちまった。今夜、急いで検品し、明日は発送作業に時間を取られてしまう。また散歩がお預けになる😢。

 

実は、梅が不作の年に、柑橘系が豊作になるという事は よくある傾向だったりもする。当県の主な農作物は果樹で、その中でもウメとミカンというのは その最たるものだ。うちの地域でもウメとミカンを並行して生業の軸とする方針の生産者が多い。梅がダメだった年は、当然、皆 暗澹としているのだが、その落ち込んだ気分が、柑橘系の好調により幾分 緩和され、それが故に 当地域の生産者はメンタルを病み過ぎる事なく、一年を やり過ごせる、というバランスはあるのかもしれない。