摂政といったらどんな官職ですか?
おそらく多くの人が、次のように答えられるのではないでしょうか。
「天皇が幼いときや女性のときに、天皇に代わって政治を行う」官職です!
多くのテキストにこのように書いてあるし、おそらく授業中に先生もこのように説明するはずです。
またテストで「摂政とは何か、説明しなさい」とあったら上のように書けばマルがもらえますよね。
では、本当にこれは正しいのかというと、僕は疑問に感じているのです。
特に「女性のとき」という部分に。
今回はこのことについて、簡単に説明したいと思います。
まず大前提ですが、日本の歴史の中で女性天皇は何人いるのでしょう?
日本史上初めての女性天皇は推古天皇、以来8人10代の女性天皇がいます。
6世紀: 推古天皇(1名)
7,8世紀: 持統天皇、元明天皇(平城京のときの天皇です)など5人7代
17,18世紀(江戸時代): 2名
このなかで、摂政がいたとされているのは4名だけなのです(推古、斉明、明正、後桜町)。
つまり持統天皇にも元明天皇にも摂政はついていない。
およそ半分のケースにしか当てはまらないパターンを、一般化していいものだろうか?
少なくとも「天皇が幼いときや女性のときに」という書き方には問題があると思っているのです。
だってこういう書き方をしたら、ふつう「幼いとき・女性のときには常に摂政がおかれるのだな」と思うよね。
これは間違いです。
摂政は常に置かれるものではありません。
※ ただ無用の混乱を避けるために、僕も授業では上記のような説明をしてきました。
これからもテストでは上のように書いてくださいね。
最後に。
摂政と関白では、どちらの方が偉いイメージがあります?
摂政は「天皇の代わりに政治を行う」のだから、最終決定権を持っています。
それに対して関白は、成人天皇の相談役なので、最終的な決定権はあくまでも天皇。
だから摂政の方が「偉い」ように感じるのだけれど・・・
多くのテキストなどでは、関白が「実質的な公家の最高位」とあるものが多いのです。
これについて、みなさん何かご存じでしたら教えてください。