公開
1972年(ソ連)
1977年(日本)
監督
アンドレイ・タルコフスキー
脚本
アンドレイ・タルコフスキー
フリードリッヒ・ガレンシュテイン
音楽
エドゥアルド・アルテミエフ
撮影
ワジーム・ユーソフ
キャスト
ドナタス・バニオニス、ナタリア・ボンダルチュク、アナトリー・ソロニ―ツィン、ウラジスラフ。ヴォルジェツキ―、ソス・サルチキシャン、ユーリー・ヤルヴぇト、ニコライ・グリニコ、タマーラ・オゴロドニコヴァ、オーリガ・キズィローヴァ
言わずと知れた、アンドレイ・タルコフスキーの代表作の一本(彼は‘生涯8作品しか監督してないが)。
この映画の存在を知ったのは、1977年。『スター・ウォーズ』の特集番組の中で紹介され、「米ソは宇宙競争にしのぎを削っていたが、SF映画においては劣っていた…」云々のナレーションと共に主人公ケルヴィンの妻・ハリーが服毒から蘇生するシーンが流れていました。
当時のソ連は、「鉄のカーテン」と呼ばれ、ほとんど情報が入ってこない国でした。その後、数年後に映画館で本作を観るチャンスがあったのですが、映画を観ていてあまりの単調さに上映中に寝てしまうという失態をやらかしてしまいました。
それは、SF映画=「スターウォーズ」のような派手な映像美を期待した‘僕の肉体は、期待を完全に裏切られたことにより、睡眠という逃避に走っていたのでした。
お金を払って映画を観に行って眠ってしまうとは、金をドブに捨てるような行為です。しかしながら、映画の全貌を見切れてない悔しさからドブにお金を捨て続け、全体像がやっと繋がったのは4回目にてやっとでした。
ケルヴィン博士は、惑星ソラリスから送られてくる異常なリポートに対し真相を調査してくるよう宇宙局から依頼されます。
ケルヴィン博士がソラリスで見たものは、人間の脳で考えたものを具現化するソラリスの海の力でした。ケルヴィンは死んだ奥さんとの甘い生活を続けますが、やがてソラリスの海に変化が起こりはじます。
「2001年宇宙の旅」と並び称されるSF哲学映画の金字塔ともいえる作品ですが、当時のソ連のSF技術の結集した超大作になっています。
ちょうど、黒澤明監督がソ連で「デルス・ウザーラ」を撮影したときと同時期に「惑星ソラリス」も撮影されていたそうで、隣のスタジオからもの凄い爆発音が聞こえてきたのが「ソラリス」の撮影現場だったそうです。
宇宙ステーションの中は実物大のセットが組まれ、ソラリスの海もウルトラセブンのごとくと、鉄のカーテンの映画にしてはカラフルなものでした。
そして、「ソラリス」は後のSF映画やアニメに大きな影響を残します。
特に顕著なのが、「新世紀エヴァンゲリオン」でしょう。
ソラリスの海が送ってくる存在、それは使途そのものといえますし、ケルヴィンが奥さんのハリーをシャトルで打ち上げても、すぐに別の奥さんが現れる(もちろん記憶はない)というのも、綾波レイと同じ存在であると言えるかもしれません。
また、ソラリスというタイトルはロシアのキリル文字なのに対し、シャトルに刻印されたロゴは「SOLAROIS」と映画読みになっています。ソ連が輸出を意識して英語のロゴにしたかはわかりませんが、ともあれ国際宇宙ステーションという設定へのこだわりがうかがえるシーンです。
予告編(英語版)
日本語版を探したのですが、YouTubeにはありませんでした。英語版ですが、音楽はオリジナルではなく編集はSFホラー映画のごとく。まるで、「ベン・ケイシー!」と叫びたくなるようなナレーションです。(笑)
これはこれで面白いので、リンクを貼っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=TPbqgcHgP0w&t=33s