私は在日韓国人三世として、この世に生を受けた。
比較的、裕福な家庭に生まれたので、生活にはあまり不都合なく生きてきた。
しかし、普通に生きていても普通とは違う。
なぜなら、私は父のことをアボジ、母のことをオンマと呼んでいたからだ。
そのほかには、おじいちゃんをハルベ、おばあちゃんをハンメ、叔母のことをスンモなど、
名前だけでなく、こんにちははアンニャシミカ、ありがとうはコマスミダ、
韓国語を本気で勉強したことがないので、正確には何というのかは知らないが、とりあえず日常的に使っていた。
もちろん自分の名前も日本名は持っていたのだが、韓国名で呼ばれていた。
小さい頃は何も感じなかった。
だから、周りの友達にも私は韓国人だということを普通に話していた。
しかし、不思議なことに幼稚園の運動会に叔母が来た際、
いつもならスンモと呼んでいたのに、その日はおばさんと呼んでいたらしい。
これは後に母から聞いた話だ。
子供なりに何か違うと考えていたのだろう。
しかし、何度も言うが小さいときには、意識の上では何も気になることはなかったのだ。
少しずつ違うと感じることになる。
つづく。