今日は 土曜日だと言うのに しゅうちゃんも ハルも仕事…。つまんない。


「ねぇ ケンちゃん。デートしよう?」

「しません。柊二さんが怖いんで。勝手にはなさんと外出したら オレが怒られます。」

「えーーーっ いいじゃん。しゅうちゃん いないんだし。デートしよ?」

「だから しませんってば。」

「しようよーー。退屈で死にそう。私が死んだら しゅうちゃんに怒られるよ?いいの?」

「退屈で死ぬ人はいませんから。大丈夫です。」


むむむ…プンプン
ケンちゃんは 最近 こういうイジワルな言い方をする…。


「デートがダメなの?じゃあ 暇つぶし。暇つぶしにお出かけしよ?」

「…柊二さんに聞いてみます…。」

しゅうちゃんに電話したら、18:00までに帰っておいでって。



というわけで ケンちゃんと デートラブラブ …じゃなくって 暇つぶしに 近くのショッピングセンターのシネコンで 映画でも見ようかってことで お出かけ。映画 久しぶりだーー。うれしいな。


早めに行って 上演時間まで ケンちゃんとお茶してぶらぶら。

その時 友達からラインが入った。 短く返信したら またすぐに…。
歩きながら やり取りしてたら ケンちゃんに

「ちゃんと前見て歩いてください。」

って 注意された。

もぅっっ うるさいな。

子どもじゃないんだから 大丈夫だよ。
最近 ケンちゃん ホント口うるさい。

「はーーい。」

とケンちゃんには適当に返事して… また ピロロンとなったので またスマホの画面から目を上げずにいると ケンちゃんが 小さくため息をついた。

もうっっケンちゃん うるさいっっ。ため息まで うるさく聞こえる。
イライラした私は 友達に返信しながら スタスタと 早歩きで ケンちゃんから離れた。

そのまま どんどん歩いていたら…

「はなさんっ 危ないっっ!」

ケンちゃんの大きな声がして びっくりして顔を上げたら 目の前は階段…。

え?え?

すでに踏み出してる足の下には 地面がない…。
ぐらりとバランスを崩したとき 後ろから走ってきたケンちゃんに グイっと勢いよく腕を引かれて 戻された。


…けど かわりにバランスを崩したケンちゃんが 階段を転がり落ちた。


え… うそ…



目の前で落ちていくケンちゃんを 私は呆然と見下ろしていた。




うそでしょ… 

なに?これ?