続き。「銀河鉄道の父」「宮沢賢治の食卓」、及び宮沢賢治の生涯についてネタバレの可能性があります。
未見の方は読んでもよくわからないと思います。
私は宮沢賢治がただ綺麗なだけの人じゃないのを広まって欲しいタイプなので(「宮沢賢治が好き」って言うとストイックで清廉潔白なタイプが好きで夢見る夢子ちゃん(もうばばぁだけど)な目で見られるので)、
そうじゃないんだよなぁ、確かに作家特有の女と酒と薬には溺れてないけど金持ちの甘ったれボンボンなのは確かなわけで、それ故怪しい商売をしようとしたとか、宗教絡みで親と揉めたとか、学生時代に先生に悪戯したとか(実は農業もあんまうまくいってなかったとか、映画にはないけど)その辺りが広まってくれた方が気が楽というか。
前編の後述、宮沢父の考え方について。
どっかでも書いたかもしれませんが改めて。
「父」でもトシに言われた通り、「新しいお父さんになれ」と言われてますが、宮沢父って凄く先進的な考え方をすると思うんですよ。
「食卓」にも書いたかもしれませんが、まず岩手の田舎(失礼)でいくら裕福な家の子とはいえ、東京に娘を学校にやるのは中々ない筈で。しかも娘しかいない家じゃないのに。
そこには学生時代のトシの恋愛絡みで家に置いとけなくなった説とかありますが、それなら遠くに嫁に出せばいい訳で。
お母さんが何故か「父」だとあんま意見をいいませんがトシの話をすんなり受け入れちゃう所も。
まぁ今のご時世「女の癖に」的なセリフは創作でも入れられないんでしょう。
その対比として当時の考え方をしている(看病は女の仕事、店をほっとくな、商家に学問はいらない)祖父を出す事で話がわかりやすくなってると思います。
あと看病シーンが多い。
召使いさん的な人がいる裕福な家で当主が率先して看病したがるし。
現代すら、子供の教育は母親の仕事だといってほったらかすごくごく一部の男性人は明治の人より進化してないっていう事ですねぇ(皮肉)。
映画にはないけど改宗だって現代ですらするのが大変で色々大事件もあったってのに。
総評
宮沢賢治、及び父の生涯を映画でやるには流石に足らず、その中で黒歴史とも取れなくない部分ばかりを並べた辺りは割と挑戦的な映画だと思いました。
出来たら父が主役なんだから、賢治死後の話ももう少しして欲しかったな。
あとちょっと思ったのは「食卓」に綺麗な部分を譲って、「父」には賢治がちょっとアレな部分ばかりをピックアップしたように思うが、私の気の所為ですよね。
(因みによく聞く宮沢賢治の白歴史:
石集めてたとか、山登りが趣味だとか、学校の先生してたとか、農家として海外の野菜やら花やらを育ててたとか、トシの看病を実は読み聞かせ以上の事もしてたとか、トシが亡くなってめっちゃ病んだとか、物語を寝ずに書いてるシーンがちょっと足らないとか)
昔の評価では「岩手で著名な音楽の先生」(「食卓」)やら、東京で「地方の無名作家が書いた本」(「父」)なんて言われてますが、最早岩手の有名人といえば…って言われる位になってしまって(某メジャーリーガーよりまだ賢治の方が有名だよね?)、前半部分で賢治に言った「このままでは宮沢家が潰れる」という意味では質屋とは比較にならない位儲けてる(現在進行形)と思います。
とっ散らかりましたが、以上で「銀河鉄道の父」については終わります。
おまけ。最後に一言。
日本の映画界は役所広司氏に頼りすぎ。
賞取ってから尚更。日本の映画の悪いところ。
流行ったらその人ばかり使う。挑戦しない。
だから日本の映画は、映画を余り観ない私の様な人種から似たり寄ったりの作品ばかり作ってる様に見えてしまう。
私なら(失礼ですが)名前を知らなくても素敵な俳優さんが出てる面白い話の作品観たいし、こんな素敵な人いるんだって思いたいけどな。
洋画も外国の俳優も全く詳しくないので、海外事情は分かりませんが。
(邦画、邦ドラマ界の批判であり決して役所氏を批判してる訳じゃありません)