27歳で隠居したラビアンの居る養老牧場には、
目の見えないミニチュアホースのロンちゃんと、
自力で起立歩行のできないアングロアラブのハロちゃん という馬が居ます。
草食動物としては致命的なハンデを背負っている2頭ですが、
この養老牧場で、
たくさんの愛情を注がれて幸せそうに暮らしています

今日は自力で起立歩行のできない ハロちゃん のお話です

ハロちゃんは埼玉の乗馬クラブでお仕事をしていた馬でしたが、
腰を悪くしてしまい、
今では自力で立つことができません。
もちろん、歩くこともできません。
そうなってしまった馬が辿る運命は、
安楽死処分
であることがほとんどです。
でもハロちゃんは今、
この牧場でこうしてのんびり幸せそうな顔で、寝ています


横たわっているハロちゃんを立たせる時間がきました。
立たせてもらえることが解ると、
前脚を一生懸命動かして
「立ちたいっ立ちたいっっっ」
ってアピールしているハロちゃん

立ったハロちゃんが真っ先にすることって何だかわかりますか?


真っ先にご飯を食べるんです

ものすごい生命力に感動すら覚えます

ハロちゃんは一日のうち、
立っている時間と、寝かせてもらう時間を交互に繰り返します。
ハロちゃんを吊るしている装置は、
牧場を経営されている原口さんの手作りだそうで、見れば見るほど関心する力作です

ハロちゃんは吊るされてはいるけれど、
決してぶらさがっているわけではなく、
一度起こしてもらえば、あとは自力でバランスを取って立っているんです

完全にぶら下がってしまうといけないので、
ぶらさがるとそれを知らせるようにベルが付けられています

このベルを聞き逃さないようにと、
原口さんは牧場に泊まり込み、
一度に外出できる最大は3時間まで
という生活を送っていらっしゃいます

頭が下がる思いでお話をきいている最中も、
ハロちゃんが静かすぎても心配して様子を見に行くし、
ベルが激しく鳴る時にも様子を見に行くし、
馬への深い愛情があっても、
生半可な根性では、決して成せるワザではありません

そうこうしているうちに、
ハロちゃんを寝かせる時間がやってきました

ただ立っているだけでも、
ハロちゃんはとっても疲れるようで、
横たわるとお昼寝をします


スーって寝た時がさぁ、たまらないよねぇ

と、ハロちゃんを見守りながら原口さんはおっしゃっていました

本当に気持ちよさそうに眠りに落ちるハロちゃん

寝たり起きたりを繰り返す毎日と、
1日おきに、
原口さんご夫妻と、ボランティアでお手伝いに来てくださる方々とで、
ハロちゃんの歩行訓練もしているんです

その様子は後日また書きたいと思っていますが、
こんな身体になってしまったことをどう受け止めているんだろう。。。。
ハロちゃんの寝顔を見ながら想像してみるけど、
人間には到底想像すらできない次元なんじゃないかと思えてくる。。。

ハロちゃんは、このような生活を5年間も続けていますが、
今も元気に幸せそうに生きています

本当に奇跡のような現実を目の当たりにして、
ハロちゃんは、いろいろな可能性を世の中に投げかけている馬だなと思います

実際、ハロちゃんと原口さんのことは、
新聞にも取り上げられているし、
先日は学会でも発表してきたとのことです


どうして原口さんはこの牧場をやりはじめたんですか?
と伺ってみたところ、
屠場に送られる馬のあんな顔はもう二度と見たくないよね。。。
実際に馬の世界に身を置かれて来た方の言葉は重みがあります

そんな原口さんは、ハロちゃんの介護が評価され、
動物愛護賞
というものを受賞したこともあるそうです


私、動物愛護賞を受賞した人に出会ったのは初めてです

こんなに素敵なめぐりあわせに導いてくれたラビには、
ニンジン100年分感謝しても足りないくらいだわ

もちろん、こんなに素敵な養老牧場を探してくれたラビママたちにも、
ほんとに感謝です

ハロちゃんのこと、ブログに書いてもいいですか?

と伺ってみたところ、
ハロちゃんのオーナーさんは、
「ハロの事例がもっと広まってほしい」という思いでいらっしゃる方だから、
良いですよ

と許可をいただけたので書かせていただきました

ハロちゃんのようになってしまった馬たちがすべてこうして生き続けられるわけではないと思うけど、
安楽死という選択をしなくても生き続けられる命もある
ということが常識になっていくといいなと思います
