朝、お客さんを送り出し、お客さんの荷物を妻籠まで運んだりした後、十時から胡桃もぎを一人で始めた。
去年が生り年だったので、今年は少ないとは思っていたが、猛暑続きで雨が降らなかったせいかほとんど生っていない。
我が家の五平餅は胡麻と胡桃が半々ぐらい。
醤油・砂糖・味醂や酒で味付けする。
使用する胡桃は自生している沢胡桃を100%使っているので、胡桃もぎは大事な作業である。
時期的に少しもぐのが遅いので、早く実ったのが落ちてしまっているかと思い、昨日、下草を刈って落ちた実も拾おうと思って刈り始めたが落ちてもいない。
草を刈っても無駄なので、草を刈らずに10m×10mのシートを一人で広げ、竹竿で僅かに実っている胡桃を竹竿で叩き落す。
竹竿は6m位のものと8m位の二本。
生っている位置により使い分けて叩き落すのだが、ずうーと上を向いての作業は先ず首に負担が来る。
叩き落すにも竹のしなりを利用して叩くのはコツがいる。
葉の陰になっていたり、色が葉と見分けがつかないから見つけるのも大変である。
見つけても竿を構えなおしている間に見失ってしまい、又探し出すのに時間がかかるので時間的効率も悪い。
竿の届かないほど高い位置のものは木に登って叩くのだが、10m位登ることもあるので木登りは技術がいるし、高所恐怖症気味の私は腰が引けてしまう。
一人でシートを移動したり、木に登ったり、実を拾ったりと悪戦苦闘していると、長男が11時頃来て手伝ってくれたので助かった。
一人と二人とでは仕事の効率が全然違う。
そうやって昼休みなどを挟んで三時過ぎまでかかったのだが、採れたのは肥料の袋に一袋・・。
これから土の中に一ヶ月ほど埋め、果肉の部分を腐らせてからきれいに洗い、一ヶ月以上、毎日天日乾燥をしてから貯蔵する。
今年のように不作の年もあるので、我が家では二~三年前のものを使って調整しているが、天日乾燥が悪いと中の種が変質して味が悪くなってしまうため、乾燥には気を使う。
お客さんがいる時は、出してきて、割って種を抜いて細かな殻を取り除き、擦ってから擦った胡麻と合わせて又擦って、調味料を加えて擦ってやっとタレの完成となる。
焼き方も下焼きが大事で、全体がこんがりと狐色になり、表面が硬くなるくらい焼くと香ばしさが出る。
“五平餅と称する物”を売っている方は面倒でも・・時間がかかっても・・下焼きに気を使って欲しい。
“五平餅”をお出ししている者の一人として「私、五平餅なんてあんな不味い食べ物無いと思いました・・」というお客さんの声を私は聞きたくないので。